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蔵の嗚咽
【近親相姦 官能小説】

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第二章-1

 少年の心を果てしなく広げてゆく秩父の自然。その魅力にタエの存在が加わった。
 翌年の夏は父と二人で出掛けることになった。兄は受験を控えていたので来ることが出来なかったのだが、少しも残念な様子はなかった。内心喜んでいたことと思う。母も伯母に電話で事情を話しながらほっとしていたにちがいない。

 タエは変わっていた。体つきや笑顔、喋り方は何も変わらない。雰囲気というか、印象、何かが違うと感じたのである。今なら断定して言えるが、所作振る舞いを含めたたおやかさといったらいいだろうか。それは自然に醸し出されたもので、つまりタエは一段と大人の女に近づいていたのだと思う。一年の間に備わった落着きが私の目には『新しい』タエに見えたのだった。それには重要な素因があった。私自身の成長が大人を感じるようになっていたのである。

「大きくなったねえ」
伯母は私を見て目を細めた。タエもにこにこ笑って、
「坊ちゃん、大きくなったねえ」
伯母の真似をして私と並んで肩の高さを比べたりした。
「もうほとんどタエと同じだよ」
しかし、成長を喜びながら、伯母の私への扱いはそれまでと何ら変わることはなかった。
『甥の隆司ちゃん』は少年であり、スイカやアイスクリームが大好きで、カブトムシを腕に這わせて遊ぶ子供であった。

 その見方は間違ってはいなかった。私は相変わらず虫捕りが好きだったし、川遊びだって毎日のように行っていた。
 変化があったのは耳と目、である。異性に対する関心といってもいいだろう。特にタエの体に興味が高まって、胸だけでなく、尻や太もも、歩く時のふくらはぎの動きにも目を奪われるようになっていた。

 大人の会話にそれとなく耳をそばだてるようになるのも思春期の兆候の一つであろう。
 タエが買い物に行っている時のこと、縁側でクワガタとカブトムシを闘わせていると、父と伯父たちが小声で話しているのが聞こえた。

「あの娘はいつまで預かるんですか?」
父の言葉に伯母が小さく溜息をついてから、
「別に期限はないんで、いつ帰してもいいんだけど……」
「特殊な学校に入れるとか、何か身につけさせた方がいいんじゃないかな」
「向こうのうちじゃその気がないんですよ。帰って来られるとみっともないって言うし。こっちで勝手に何かするわけにもいかないでしょう。迷惑かけてるって気はあるのよ。食費は送ってくるし、時々下着や服もね」
「なんだか施設みたいですね」
「ほんとにねえ。あちらの家には先代の時、世話になったことがあってね。義理があるんですよ。かといって、いつまでもっていうのはねえ」
伯父が咳ばらいをした。
「いいじゃないか。うちには子供がいないんだし……」
「養女にするんですか?」と父。
「まさか、いやですよ、そんな……」
「当分いればいい。嫁の話もないだろうし」
「でもね……」
伯母の声が小さくなった。私はわざと虫に集中しているように腹這いになって耳の感度を高めた。

「最近、色気づいてきてね……」
「何か、あったんですか?」
「夜、変な声出したりして……」
「よけいなこと言うな」
押し殺した伯父の声はしわがれて聞こえた。
 伯母は口を噤み、台所に立ったようだった。

(何か、ある……)
漠然と思い、いくつかの出来事が頭をよぎった。昨年、タエと寝た時のこと、トイレで聞いた声。
(そのことなのだろうか……)
私の思考は迷路にはまったようにあちこちをうろうろと歩き回っていた。だが、解明の元になる知識がないのだから迷路に出口はない。
 タエが汗びっしょりで戻ってくると大人たちはとりとめのない会話を交わし始めた。


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