失踪-4
多くの婦警と女性刑事が忽然と姿を消した事に慌てる警察各署。中央署に捜査本部が置かれた。捜査本部長は中山だ。過去の婦警レイプ事件を捜査中であり一番情報を持っているのはこの中央署だからだ。人員も県内一。県内各署から署長クラスが緊急召集された。
「昨日から県内各署の婦警ならびに女性刑事、女性署員が多く行方不明になってます。これは意図的に警察の女性署員を狙って誘拐しているものと思われます。可能性の一つとして過去に起きた婦警連続レイプ事件との関係も考えられます。あの事件の犯人は捕まっておらず未解決事件のまま今に至っております。今回の件で誰か不審な人物や不審な点に気付いた人はいますか?」
全員が顔を見合わせるが首を捻る者ばかりだ。
「どんな些細な事でもいい。誰かいませんか?」
何とか手掛かりをつかもうと必死の中山だが誰も答えられる情報を持っている者はいなかった。
「今、これだけの失踪があるのにも関わらず目撃情報がないという事は、もしこれが本当に誘拐拉致事件なら犯人は相当計画性を持って実行しているという事です。こちらも細心の注意を払っておかなければなりません。これは非常事態、いや、異常事態です。一刻も早く失踪した者を救出し、加えてこれ以上失踪者を出さないよう慎重に業務について下さい。」
会議が終わった。署長同士情報交換をしながら各署へ戻って行く。その中で県でも外れの田舎町にある石神署の署長は割と客観的だ。同じく田舎で平和な地域の署長らものんびり構えていた。
「うちらの地域はそんな凶悪犯罪はまずないからなー。協力しようにもどーしたらいいか分からないしね。」
「全くだ。出来る限りの事はするとしかいいようがないもんな。」
お茶してから帰ろう、そんな雰囲気だった。しかし魔の手は県内全域の女性署員に伸びていることを田舎町の署長達には知る由もなかった。