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LADY GUN
【推理 推理小説】

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失踪-5

 会議が終わり無線やメールにて婦人警官、女性刑事、女性署員に連絡が伝わる。外に出ている女性署員全員、すぐに署に戻るようにという指示だ。連絡を受けた女性署員はすぐさま署に戻る。
 駐車違反を取り締まっていた中央署の弓野聖子と中島梨華も連絡を受け仕事を切り上げて署に戻ろうとした。ミニパトカーを走らせ信号待ちをしていると背後から来た車が聖子の運転する車を追い越し信号無視をして走り去った。車はごく普通の軽自動車で高齢者マークが貼ってあった。
 「ちょっとぉ、パトカーを追い越して信号無視なんて度胸あるわね。」
 「おじいちゃんかおばあちゃんじゃないの?見逃してあげたら?」
 「ダメだよ。本人の為にもちゃんと取り締まらなきゃ。」
 「正義感強いね〜。」
聖子はサイレンを鳴らし車を追いかける。婦警失踪の話は捜査本部が置かれているだけに良く認識していたが、昼間で淋しい場所でもないし、何より高齢者マークを見て気を許してしまったのが間違いだった。これは確実に婦警誘拐の一環であったのだ。老人を装って軽自動車を運転している男はミニパトカーで追いかけて来ているのが弓野聖子と中島梨華という婦警だと言う事を知っている。2人を攫うつもりで誘った訳だ。
 走る軽自動車はビルの地下駐車場に入って行った。すぐ背後に車をつける聖子。
 「追いかけられてるの、気付いてないんじゃない??おっとりと発券してるよ?」
別に慌てる様子もなく発券機に手を伸ばしている。
 「耳が遠いのかなぁ??メンドクサイかも…。」
 「だから見逃せば良かったのに。」
 「違反は違反ですから!」
前の車に続いて券を取りピタリとつける。
 車が停車した。すぐ隣にミニパトカーを停めた聖子。中を見ると白髪頭のおじいちゃんだった。聖子はミニパトカーを降りて運転席に回る。窓をコンコンと叩く。
 「おじいちゃん、さっき信号無視しましたよね〜?」
 「え?な、なんですかぁ??」
やはり耳が遠いようだ。聖子はトーンを上げもう一度言う。
 「さっき信号無視したよね〜??」
耳に手を当て聞こえない素振りを見せる。
 「ちょっと耳が遠くてなぁ…」
少し苛ついた聖子。しかしその老人に少し違和感を覚えた。
 (老人の手にしては若々しいわね…。声も何か老人ぽくないし…)
そう思いながら警察手帳を見せながら再度言った。
 「おじいちゃん、私、警察。分かるかな!?おじいちゃん、さっき信号無視したよねー??」
 すると何となく嫌な笑みを浮かべた老人が言った。
 「見逃してくれよ〜。」
 「ダメですよ、おじいちゃん?」
 「そんな事言わないでよ〜、頼むよ、聖子ちゃん。」
 「えっ?」
名前を呼ばれてドキッとした。警察手帳を見せた時に見たのかもしれないが、老人がそれほど大きくない文字を認識できるのか疑問に思った。
 「規則だからダメなのよ?」
すると老人が豹変した。
 「じゃあいいや。今度は聖子ちゃんのオマンコを信号無視して中に入れちゃおうかなぁ…」
 「えっ?」
目の前の老人が自分の髪に手を当てると白髪頭が外れた。
 「か、カツラ!?」
そして良く顔が認識できないうちに覆面を被って聖子の腕を掴んだ。
 「な、何するの!?」
 「ヘヘヘ、信号無視…!」
その瞬間、聖子の頭に失踪事件がよぎった。


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