失踪-2
結局知佳は見つからなかった。家にも帰っていないという事だ。署員全体に捜索するよう伝達された。
隣町の城北署にも知佳の写真が渡され見つけたら連絡するように指示が出された。パトロールに出掛けた篠原優香と城島陽子。
「ちょっと大袈裟なんじゃないですか?ただのサボリのような気がしますけどね。」
「まぁ城南署は昔婦警が暴行された事件があったそうだから敏感になってるんじゃないかな。」
「何ですかそれ?」
「ほら、ニュースにもなったじゃない。あのレイプ魔事件。未だに未解決の。」
「そんな事件ありましたっけ?」
「私も警察に入ろうとは思ってなかったからよくは見てなかったけどね。」
だんだん風化しつつあった。
「あ!原付ニケツよ!!」
運転する優香はサイレンを鳴らして原付バイクを追跡する。
「前のバイク、停まりなさい!」
警告するが停まる様子はない。優香は警告しながら追跡する。田んぼ道を抜けちょっとした山道に入って行くバイク。
観念したのかようやく停まった。
ミニパトカーを降りてバイクに寄る優香。
「あなた達、ダメでしょ!すぐ停まらないと!」
「スンマセーン。」
やる気のない返事をする2人組。
「ヘルメットを取って免許証見せなさい。」
「ハーイ。」
ヘルメットをとる。
「えっ…?」
ヘルメットを取った男に驚いた。無気味な覆面をしていたからだ。
「そ、それも外しなさい!」
微妙に恐怖感を覚えた優香。すると背後から陽子の悲鳴が聞こえた。
「キャーッ!!」
驚いて振り向く優香。すると追跡してきた男2人とは違う人影が見えた。車内の陽子を抑えつけていた。
「な、何してるの!?」
「おっと、オネーサンの相手はこっちだよ?」
背後から羽交い締めされた。
「きゃっ!放しなさい!!」
「やだよー!」
楽しげな覆面男。すると車が1台やってきた。
「よし、連れ込め!」
優香と陽子はその車に押し込まれた。
「な、何よあなた達!!」
「悪いが黙っててくれ。」
口と目を塞がれ手足を縛られた。
「よし行こう!携帯は奪っておけ。」
「もう奪って電源切りました。」
「よし!早くしないと警察来ちゃうからな。」
パトカーのGPSを恐れて素早く立ち去る。
「ヘヘヘ、リサーチ通り可愛いね。しかし最近の警察は可愛い子多いねぇ。さらいがいがあるよ♪」
車は長い間走りつづけた。優香と陽子はずっと怯えていた。