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LADY GUN
【推理 推理小説】

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失踪-1

 「おい、早坂!早坂はどこに行ったんだ!?」
城南署の交通課課長、吉川和夫が声を張り上げる。
 「さっきまでそこにいたんですが…」
パトロールから帰って来て報告書をまとめていたはずの早坂知佳だがいつの間にか姿がない。
 「あいつ、昨日の報告をまだ提出してないぞ??一体どうなってるんだ!?君もちゃんと指導しなきゃダメだろ!」
 「す、すみません…。今すぐ探してきます!」
直属の上司、井上多英が慌てて知佳を探しに行く。
 「ったく!!一体仕事を何だと思ってるのよ!!」
 普段からタラタラ仕事をしている知佳に多英はいつも手を焼いている。髪を染めてレイヤーミディの髪型をしたギャル系の婦警だ。若い署員には人気がある。そんな知佳、勤務中のスマホいじりはいつもの事だ。いや、まだそれならマシな方だ。パトロール中に平気で買い物をするのはいつもの事。生真面目な多英から見ればお遊びで仕事をしているとしか思えないしいつもイライラさせられていた。何で警察に入ったのか全く理解できない。
 多英は署内のサボれそうな所を探したが見つからなかった。そして廊下で出くわした高梨勇人に聞く。
 「ねぇ、早坂見なかった!?」
 「あー、知佳ちゃんなら裏の駐車場にいたよ?」
 「駐車場!?ありがと!」
多英は鼻息を荒くしながら駐車場に向かう。自動扉を出て駐車場に着く。しかしその姿はなかった。駐車場を探し回ると、隅っこの方に口紅がついた煙草が捨てられていた。しかも火がついたままだ。
 「一服してたのね!しかも火をつけたままポイ捨て!?信じられないわ!今日という今日は絶対許さない!」
一服を終えて部署に戻ったであろう知佳を追い早足で戻る多英。しかし部署には知佳の姿はなかった。
 「いつまでサボってんのよ!!」
戻ってきたらきつく説教してやろうと息巻いていた多英だが、それからいつまでたっても知佳は姿を現さなかった。
 「まさか勝手に帰ったって事はないわよね…。一体どこに行ったの??」
勤務態度には問題ありだが、無断で帰るなんて事は今まで一度もなかった。夕方18時、帰社の時間になっても姿が見えない事にようやく異変に気づいた。しかし残っていた署員が知佳をあちこち探したがどこにもいない。電話も電源が切られている。
 「どーせ帰りたくなって帰ったんじゃないの??」
普段の勤務態度が仇となり深刻に考える者はいなかった。嫌な予感がしたのは多英だけであった。


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