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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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私のしてる事って-3

そんな彼を呆れ顔で見つめ
「一体どうしてまた・・」
気絶した理由を尋ねるも「さぁ?血糖値でも上がったんじゃ」だの軽くはぐらかされ

「ちょっと、しゅう!」
毛布を取り、床に足を着ける彼の体に触れ引きとめ様とし
「さっ、何時までもこんな所で寝てらんないカラ」

「その体で?」
先ほど見てしまった彼の痛々しい傷跡をもう一度、服の上から見上げ
「何が?」
「何がって傷だらけじゃない!足とか腕とか色々」
思わず声のボリュームを上げ詰め寄るとハッとする様に咄嗟に腕を押さえ
「べ・・別に大した事」
「何処がよっ!」
再び彼女の心配性が始まり彼を問い詰めようとすると・・

「・・見たのか?人の体」
いひょうを付くかの如くそう言われ、彼女の勢いがピタリと止まり

「それは、だって・・」
床に視線を落とし弱気な声を荒げ、彼も此間の夜を思い返し
「良いから・・俺の事は、大丈夫だって言ったろ?」
軽く溜息を付き彼女に構わず教室へ歩み寄り
「あっ、待ってっ!」

バタンッ!
彼女の制止も聞かず保健室を後にし

「しゅう・・」
彼の居なくなった保健室はとてもガランとし暗い廃墟にでも居るような感じで・・


それから樹里奈は彼と会う度、意識はする物の何を言うでも無く何をするでも無く
ただただ彼を見つめ彼が「今日は何をしたの?」「ちゃんと休んでる?」と
決して届く事も無い、彼女の想い、そして叫び声が彼女の胸中の中でただひたすら回り
続け・・

「やっぱ、駄目よ」
夕焼けが沈む中その下でとぼとぼと歩く樹里奈達
樹里奈は地面に視線を置き自分のしてる事を疑い始め
「やっぱ、私のしてることは自己満足でしかならないよ」
「そんな、私は此間喫茶店で」
「うん分かってる春華の言いたい事は分かる、私は彼を心配してるだけ・・そして彼には幸せであって欲しい」
賑やかな親子連れが通り過ぎ

「だから私、もう彼には構わない」
「そんな、じゃーしゅうの事は」
「誤解してないで、彼の事は好きよ・・幸せであって欲しい」
「だったら!」
友の叫びに樹里奈は一呼吸し合間を置き静かに語る
「・・彼が「俺に構うな、大丈夫」って言ってるんだから私は彼の意思について行く!」
「樹里奈・・」
「それが彼の望む事なら、私のお節介で彼が、ただでさえ苦労を背負い混んでるのに一人のお節介女の自己満足で余計に苦しめる・・何てそんな事、私は・・」

彼女の中で彼女なりに彼を想い色々葛藤したゆえの決断だ
悩める友の横顔を目にした春華も、静かに瞳を閉じ友の意思を受け居る事に・・

そして学校、手洗い場で冷え水を顔にかけ放課後の部活に気合を入れる
「よーしっ!ってあれぇ?」
タオルのある位置に手を伸ばすもこの日は忘れてしまい
「はいっ!」
温かい声と共に白いタオルが視界にはいり、顔を上げると・・
「・・蓮見サン?」
またクドクド言われる・・そう想い声のトーンが沈むも

「放課後は練習でしょ?頑張ってね!」
今までとは違い、柔らかい彼女の表情に思わず空いた口が塞がらずにいて
「どうしたの?・・イイ男が台無しよ?」
タオルを持って両手を彼の顔に近づけ腕を伸ばすと
「あ、ありがとう・・」
困惑はするも彼女が差し出すタオルで顔を拭き、使い終わると再び彼女にお礼を言い
返し
「偉いよね君って・・やっぱ」
「そんな事無いよ、キャプテンとしては当然だよ」

彼女と顔を合わせないも返答をし、ゆっくり彼女と距離を離れると

「ゴメンね、しゅう」
彼の背中に向かってポツリと言い、彼もその声に気づき振り向く
「貴方には貴方の考えや意思があるのに私ったらそんな貴方の事を良く考えもせず
一人で勝手に心配して貴方が嫌だって言ってるのに強引に引っ張っちゃって・・」
「だからもう貴方に余計なお節介はしない、だってそれは貴方を苦しめるダケだしさ」

「蓮見・・サン」
シーンとする廊下、彼もそれに対し
「そんな事は無いよ、いや確かに余計な事ではあったカモ知れないケド、それは俺の事を想っての事でしょ?こっちこそゴメンよ、せっかく良くしてくれたのにそんな言い方して心配掛けて、・・傷ついたでしょ?」

「ううんっ!そんな事無いっ・・・そんな事、無いよっ!それは私が勝手に不安がって」
彼女の返答にニコッと返して

「それじゃ、俺は行くね有難うっ!」
今度こそ練習に向かう彼に彼女は想いを込め、大好きな彼にこう言った

「何か苦しいや困った事があったら何時でも私に言ってっ!!
   ・・そしたら私、全力で貴方を救うカラッ
       私は何時でもどんな時でも貴方の味方だからっ!」

静寂な廊下に響き渡る他人を想う一人の少女の叫び・・

それを耳にした彼は振り向き、嘘偽りの無い彼女の顔をまがまがと見つめ

「ホラッ、どうしたの?急がないともう練習始まってるんじゃない?キャップテン!」
固まってその場を動こうとしない彼を部活へと急かし軽く背中を押すもその動きは
極めて鈍く・・

それから部活へ向かう彼の背中を、確認した樹里奈は廊下を後にし
その背中をまがまがと見つめるしゅう・・
「蓮見・・サン」
その瞳がぼんやりと赤く染まってゆき

「おーいしゅうっ!ボール行ったぞー」
「えっ?うわっ!」

しゅうに回したボールが彼の腹に命中し、そのボールが彼の足元で無邪気に転がっていき
「大丈夫か?」
部員2、3人が彼の身を案じ駆け寄りると
「ん・・あぁゴメン、ちょっと余所見してた」
と、後髪を掻き苦笑いをし
「・・どうしたんだよ、いつものキャップテンらしくないぜ?どしたん?」
「いや、別に、よしっ!練習再開ダ!」
っと声を挙げ、放れてゆくボールを拾い、思いっ切り蹴り上げ皆の輪に入り込み・・


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