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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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私のしてる事って-4

「そしたらその先生がさぁ」
サッカー部員が練習に励む中、帰宅する女子生徒達
「へぇー、あの先生が?以外ね」
「でしょう、人は見かけに寄らんガナ」
「それはそうといつものアイス屋に行かない?暫く行ってないよね?」
「そうだね、じゃあ行きますか?」
「オーケー牧場!」
と古い言葉を挙げ、ウキウキと走り出しそれを見た彼女は
「ちょっと待ってよ樹里奈ー!」

夕焼けに溶け込む樹里奈、彼が視線を送って居る事も知らず


「はぁーたまに熱い風呂に浸かるのも良いもんだぜ」
体中湯煙が自室の天井に上昇し満足気に汗を拭く樹里奈
「はぁぁー」
窓を開け、冬の風を扇風機代わりに涼み夜空を見上げる

「はぁ」
夜空に浮かぶ星をまがまがと眺め
「しゅう・・」
大好きな彼を複雑な想いを抱えつつその表情は柔らかく微笑み


「それじゃ陸上頑張ってねー」
「うん、今日こそ記録更新だっ!」
と言い、春華を送り樹里奈は玄関へ向かい靴を床に置くと

「・・あ、蓮見サン!」
一人の男子生徒に声を掛けられ振り向くと
「しゅう・・?」
彼女に声を掛ける彼がに居た、何処か他所他所しぃが・・
「どうしたの?」
目を半開きにし、頭を掻き首をキョロキョロとさせ落ち着きが無いようダガ
「・・ちょっと、今・・時間空いてる?」
「へっ?・・」


ピッ・・ピッ
心肺機の音が狂うこと無く正確に鳴り続けその近くのベットに静かに眠る一人の女性が
居て、樹里奈の目に入る
「・・しゅう、この人は?」
不思議そうに彼の顔を見て訊ねると
「俺の母親だよ佐藤 響子(きょうこ)」
この人が彼の母親だと知り戸惑う

「岡先生ー岡先生ー、至急オペ室へお戻り下さーい」
医師を呼ぶアナウンスが鳴り

安らかにベットの上で眠る彼女を見つめる内、樹里奈の心が次第に濁ってゆき

・・この人がしゅうのお母さん
   この人が彼に家事や仕事を押し付けている
    この人が、この人が・・しゅうを・・彼を苦しめている

息子が心配しその同級生がお見舞いに来て居るにも関わらず寝顔を見せる響子・・
黒い目でそんな響子を見つめ序々に憎しみが増して行く中

「美人ダロ?俺の母さん」
彼の一言に我に返る樹里奈、ゆっくりと口を動かし語り出す彼に視線を替え

「昔バレー部のキャップテンやってたんダゼ?凄いダロ?」
得意気に自分の親を語るしゅう・・ダガ樹里奈は不服そうに顔を濁らせ

「息子を置いて一人病院で随分安らかに眠ってるのね」
「それは、仕方無いダロ?車に轢かれちまったんだから」
ソレを聞いて樹里奈は此間の夜、何気なく観たニュースを思い返す

「40代女性、トラックに轢かれ意識不明の重体」
「物騒ねぇー」
「おいおい、この場所俺らの近くじゃね?」
母がドタバタと麦茶のポットを持って行き、父がいつものビールが進みいつもの夕食の
風景から何気なく言う両親
その時の樹里奈は特に気にも留めなかったがニュースの中の女性が余りにも今、彼の横で
眠る女性と瓜二つに、ふと記憶がフラッシュバックし

「全く!前方不注意だって・・信じられないよ」

果たしてそうだろうか?しゅうのアノ母がトラックの一方的な不注意で?
翌々思い出したらニュースで映った彼女の姿はとてもこの時期外出する人の格好では
なかった様な・・それでも彼がそう言うという事は・・

しゅうを問い詰めようと想うもその想いを静止する、もう彼女は既にあの日の廊下での
出来事以降、彼を問い詰めて苦しめるのは辞める事にしたから

ダガ、だからと言って彼に対する好意は変わらず
「ホント、酷い人よね実の息子を置いて本来自分がやらなくちゃ行けない家事を本来宿題や部活で忙しい子供に押し付けて、仕舞にはこうやって事故って、母親失格よね」

「母さんをそんな風に言うなぁっ!!」

罵声や騒音を許さない建物でつい大声を静寂な個室に響かせ彼女を睨み
そんな彼に彼女も目を丸くし

「・・あ、ゴメン怒鳴っちゃって」
「う、ううん、私こそゴメンなさい身内の悪口何て最低よね」

お互い自分達の失言に気づき視線を逸らし

「・・まぁここまで来たら白状するよ、母は確かに正常じゃない、君の言う様に家事も
しないし家に引き篭りがちで最近じゃ変な宗教に入ろうとするし」
眠る母を悲しい顔で見つめ
「食事の時間になると「今日は何々ー?」って子供みたいにはしゃいで、たまに俺の帰りが遅くなると勝手に庭から外に出てコートも着ず夜の街をふらついて・・」
ソレを聞き目を丸くさせ、ハッと彼女はふと自分の過ちに気づき
「御免なさいっ!私のせいでっ!」

「?」
彼女の突然の謝罪に戸惑い、口が止まり

「私があの日貴方を引き止めたりしたから、雨だからって態々家に上がらせたりしないで
そのまま家まで送っていれば・・」
「・・蓮見サン」
「貴方を遅らせてしまったから、そのせいでお母さんが」
「・・いや、君のせいじゃない俺が母さんの性分を知りながら君の家にお邪魔したから」
「そんな」
「君だって母さんの事を知っていたらちゃんと送ってくれたろ?だからさ」
暖かく自分の過ちに傷つく彼女を励ます、ホントは満更でもないハズなのに・・
そして知ってたら送ってくれた、と言う彼の問いに素直に首を縦に振れない彼女が居て

そして母の元にゆっくり歩みより彼女の痛んだ長い髪を手に乗せ語り出す
「・・母さんはとっても素晴らしい人間だよ?優しくて俺に姉さんに父さんの為に自分の
事は二の次で努力を惜しむ事無く俺達を支えてくれて」
「・・近所でも彼女を悪く言う人は居ないよ近所や俺たちの学校でも「明るく元気な素敵
なお母さん」だって」
母を語るしゅうのその口調はとても優しく顔もとても穏やかダガ・・








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