常習犯-2
「はい、落合です。」
「・・・・」
「もしもし?・・・もう!またあなた?もしもし?」
「・・・・」言葉がつまった。
「もしもし、いい加減にして!」
彼女の怒った口調になった、勇気を出して、
「ごめんなさい。さっきはごめんなさい。」
「あなたいくつ?さっきはって、ずっと前からでしょ!」
「ごめんなさい。」
「いくつなの?」
「16です。」
「高校生?名前は?」
「それは・・・」
「名前は言えないんだ?」
「名前は・・・」
「私のこと知ってるの?」
「はい。」
「知ってるの?近所の子?」
「え、あ、はい」
「ん?近所で高校生の子なんか知らないよ。誰?あなた」
実は、亮介は彼女の事を知らない。無差別にかけていたイタズラ電話なので当然知る事は無かったが、知ってると言ってしまった。
「まあいいけど、あなた謝ったんだから、もういたずら電話かけて来ないでね。」
「はい、ごめんなさい。」
「じゃあね。」彼女は電話を切ろうとした。
「あっ、あの・・。」
焦って亮介は彼女を止めた。
「なに?まだ何か?」
「あの、、、あのですね、、」ここで電話を切ってはいけない。亮介は無理に話そうとした。
「なあに?」
「あの、・・好きなんです。」
「はぁ?あなた何言ってるの?バカじゃないの。おばさんに向かって突然変な事言わないでよ。」
「ホントです。好きです。」
思いつきとはいえ、告白を口にした亮介は感情がだんだんと高ぶっていった。
「ホントです。ほんとに好きなんです。奥さんの事が好きなんです。」
「あなた、奥さんって・・・あなた高校生でしょ、何言ってるの?毎日いたずら・・まあ、それは謝ったか、・・じゃあ、あなたの事教えてよ。名前は?どこに住んですの?」
「・・・・」
「ほら、いえないじゃない。」
「・・亮介です。」
「ふーん、亮介って言うんだ。で、亮介君はどうしてまたゴソゴソしてるの?」
「えっ、なにも・・」
「亮介君。今、左手に持ってる物は?」
「えっ?電話機です。」
「じゃあ、右手は?」
「・・・・」
「ほらね。やっぱりいやらしい事してるでしょ?」
「ごめんなさい。」
「もう、やめてちょうだい!まあ、名前教えたから許してあげるけど。二度と電話しない約束して!」
「はい、ごめんなさい。」
「高校生じゃしょうがないか。きっとそんな事ばかり考えているんだよね。可愛そうに。」
「そういわれても・・」
「ねぇ。もう大きくなってるんでしょ?しちゃえば!」
「えっ、・・しちゃえばって・・?」
「今日だけよ。二度といたずら電話しない約束なら、今出してもいいわよ。ただし今度かけてきたら警察に通報するから。」
「はい。あっ、えっ、急にそういわれると・・何か・・あのー・・エッチな話ししていいですか?」
「なに?何を話せばいいの?」
「セックスって気持ちいいですか?」
「??私の事?その質問はパスよ。」
「じゃあ、男の人は気持ちいいの?」
「??あなた男でしょ?・・・??あっ、なるほど、そういうことか、そうね、気持ちいいんじゃないかしら。すごく。」
「・・・・・」
「もしもし?気持ち良いと思うよ。みんなおちんちんビンビンにしてイっちゃうもの。」
「・・・・っう・・」
「??もしかして出ちゃったの?」
「うん。」
「ふふ。よかったね。じゃあ、もう切るよ。約束守ってね。じゃあね、バイバイ。」
「あ、はい、ありがとうございまいした。」
あっさりと電話は切られた。
亮介は予想しない展開に興奮した。夢の様な出来事だった。しかし、それとは逆に彼女に逢ってみたい衝動に駆られていた。
住所もわからない。記憶している電話番号だけが頼りだったが、局番から地域の予想は出来た。亮介は彼女の住所を知ろうと考え、番号案内に電話をする。一回ごとに予想した地域の駅の電話番号、郵便局の電話番号を問い合わせた。
あった!池の浦郵便局の局番が同じであった。池の浦までは電車で一駅、自転車でも行ける隣接した町だった。