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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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-3

「小田くん、あのね、ええと、何だっけ、ああ、大事な話があるんだけど……」

「どうした、メールは読んでくれたのか?」

「ああ、うん。媚薬のせいでみんなおかしくなっちゃったんだよね、きっと。普通の女の子がエッチなサイトに興味を持ったのも、その薬のせいだと思う」

 それからね、と花織は言いかけた。

「平家先生が犯人なら、次に狙われるのは優子だって言いたいんだろう?まったく、あの教授も変なチームを組ませたもんだな」

「それからね、ちょっと気になることがあるからって、前に優子と話したときに言ってた。徳寺麻美さんが被害に遭った現場に行って、確かめたいことがあるんだって」

「確かめたいことって、何だ?」

「わかんない……」

 花織は沈んだ声を響かせた。

「植原咲さんを発見したのって、誰だか知ってる?」

「いいや、それはまだ俺も調べていない」

 小田の声にも不安が募っていく。

「花織、この事件のあとに優子と連絡は取ったのか?」

「ううん。だって何だか、その、確かめるのが怖くて……」

 さっきからずっと電話を持つ手が震えていることに、花織は気づかない振りをしていた。
 喉が渇いて仕方がない。
 グラスの水を口に運び、喉を鳴らして飲み干す。

 その音は小田の耳にまで聞こえた。
 最近になって花織の行動に変化があったのは、小田も知っていた。

 毎日のように持ち歩いている水筒、それに彼女の部屋で見つけた色っぽい玩具。
 そんなものに手を出すような性格ではないと思っていただけに、女性の心理にはまだまだ謎が埋もれているのだと思った。

 植原咲が徳寺麻美の携帯電話を持ち去った理由についても、男目線からすれば謎めいている。
 アダルトサイトのアクセス履歴が暴かれるのを恐れて、自分の猥褻画像が世間の目にさらされるのを恐れたからだろうとは思う。

 しかしこれも単なる憶測である。
 見られたいけど、見られたくない。
 そういう女性心理の矛盾が潜んでいるのかもしれない。


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