そ-5
「とにかく。浮気よけ」
そう言いながら自分の付けたキスマークを
満足そうに触るけど。
自分は奥さんと旅行に行くんでしょ。
何ともやりきれない気持ちに支配される。
会えなくなった日から3日目の火曜日までは普通に我慢できた。
別に3日合わないことなんかザラだから。
4日目の水曜日に会社でも1目も会えないことにさみしさが募った。
5日目の木曜日に友達を誘った。
6日めの金曜日。誰も友達が捕まらないじゃない!
金曜日は皆さん、忙しいのね。
いい加減、3人目に断られた私は、おとなしく帰る決心をした。
あと2日。週末を乗り切れば月曜日には桐生さんに会える。
こんなにさみしいと思ったことは初めてかも。
そして、そんな私をおいて奥さんと旅行に行っているという
事実が私をいじめる。
ね。お祝いの旅行だから
奥さんとセックスしてる?
私の時より大事に抱いてるの?
そう思うと、あとからあとから汚い考えが頭を占める。
所詮不倫。
所詮遊び・・・?
私はすかさず携帯をバッグから取り出して
メモリからある名前を探り出す。
こんな思いから逃げ出したい・・・
「・・・・チコちゃん?」
「野口さん。今日会えますか・・・・」