第三章-1
「あんっ、あっ、あぁっ…、真耶、そこ、いいよぉっ…あんっ!」
「んっ、姉さま、ここ?ここがいいのっ?」
「あぁんっ、そこっ、そこぉっ!擦って!いっぱい擦ってぇ!」
時折罪悪感に顔を曇らせるが、それでも快楽に勝てないとわかった紗夜は、素直に身体を差し出すようになった。
真耶も、初めて味わうセックスの悦びに、そしてまだそうとは理解していなかったが、紗夜の、『女性型』の身体の持つ麻薬のような魅力に夢中になった。
身体を繋げてから、まだほんの数時間。
「あああっ、イくっ、イっちゃうぅっ!」
「私、もぉっ!姉さまぁっっ!」
何度目かわからない絶頂を同時に迎えて、二人は繋がったままぐったりとベッドに倒れこんだ。
荒い呼吸を繰り返し、それがようやく落ち着いた頃、真耶はゆっくりと抜く。
「んんぅ…」
鼻にかかるような甘い声を漏らし、微笑みを浮かべる紗夜を見て、真耶は嗜虐心を駆り立てられた。
「姉さま」
急に鋭い声を発した真耶に、紗夜はぎくりとして起き上がる。
「な、なに…?」
「シャワーを浴びるわ。姉さまは、人を呼んでベッドを整えさせたら浴室にいらっしゃい」
「わかっ…わかり、ました」
つい気安く返事をしそうになるが、すぐに言い直した。真耶は鷹揚に頷くとベッドを下り、「あ、そうそう」と思いついたように振り向く。
「その格好のままでね」
紗夜の姿を舐めるように見てから、浴室に向かった。残された紗夜は、自分の姿を見て顔を強張らせる。
一糸まとわぬ姿で、秘部からは薄赤く濁った液体が、どろりと溢れていた。愛液と精液と、鮮血の混じった液体だ。それがとろ、と溢れる感触だけで、快感が甦り全身が震える。
自分が性奴隷になったことを自覚させられながら、人を呼ぼうと力の入らない足で立ち上がった。
自分の身体のことを知る唯一の使用人を呼び、ベッドを整えさせた。彼女は紗夜を見ると一瞬表情を曇らせたが、すぐに指示に従う。
紗夜は腿を伝い落ちる液体が絨毯を汚さないようにと、手で受け止めながら見守り、何事もなかったかのように元通りにされたベッドを確認すると、浴室へと向かった。
「真耶…?」
シャワーカーテンの中を覗くと、真耶はお湯を溜めないままの浴槽の縁に腰掛け、シャワーを自分の足にかけていた。
「浴槽に入って、しゃがんで。あら、汚さないように手で受け止めながら来たのね、偉いわ」
不自然に股間に手を当てている紗夜を見て、微笑んだ。
紗夜はほっとしたように浴槽に入ると、その場にしゃがむ。
「足を開いて」
しゃがんだまま足を開くと、とろとろと浴槽に流れ落ちる。
「それ、自分で全部掻き出して。見ててあげるから」
「えっ…」
「早く」
驚いて顔を上げると、顔にシャワーのお湯をかけられた。
「はぷっ…けほっ、わ、かり、ました…んっ」
目を軽くこすり、指をそっと自分の秘部に挿れる。掻き出すために、指を折り曲げた。
「あっ…ん…」
そのままゆっくり指を抜くと、快感が背中を駆け上がるのと一緒に、どろりと中身が出る。出しっ放しにされているシャワーのお湯に、すぐに流されていった。
「はぁっ…ん…んん…はあぁ…ん…」
指を挿入しては抜き、挿入しては抜く、という動作を繰り返す。掻き出される液体はだんだん透明感をまし、お湯なのか愛液なのかわからなくなっていった。
くすくすと真耶が笑う。
「まるで、オナニーしてるみたい。いつもそんな風にしてるのかしら?」
羞恥に頬を染めながら、紗夜が首を振る。
「ああ、さっきは激しかったものね。もっとぐちゃぐちゃに掻き回すのかしら?」
また、首を振る。
「指…挿れたこと…ない…」
小さな声で答える。その返事に、真耶が顔を輝かせた。
「へぇ…!じゃあ、おちんちんどころか、指も私が挿れたのが初めて?」
紗夜が顔を上げ、真耶をじっと見つめると、恥ずかしそうに頷く。
「そう…!」
ぞくぞくした。この様子では、この姉のあらゆる「初めて」が、恐らく自分のものになる。本人以上に、自分にこの身体の支配権がある。感動すら覚えた。
自分は、なんと素晴らしいおもちゃを手に入れたのだろう。