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いびつな姉妹
【性転換/フタナリ 官能小説】

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第一章-1

二歳年上の姉は、美しかった。
皆は妹の自分を「花のように」「物語の主人公のように」かわいいと褒めそやすが、姉の方こそまるで天使か妖精のように美しいと思った。
長くまっすぐな、美しい豊かな黒髪。少し目尻の下がった瞳は優しげで、薄い唇はほんのりピンク色。
いつも穏やかで、優しく、おっとりとした言葉と仕草は、良家の子に相応しく上品だ。そしてとても賢い。自分に何でも丁寧に教えてくれるだけでなく、実際に学校での成績もトップクラスと聞く。
15歳になる近頃はすっかり胸も膨らみ、お尻も丸みを帯びて、色香を湛えてきた。
遠巻きに姉を見つめる人が一人や二人ではないのを、校内で確認している。

そんな自分の自慢の姉だが、なぜか家を継がないという。小さな頃は「あなたがこの家の跡継ぎよ」と言われても何の疑問も持たなかったが、13歳にもなれば理解する。
優秀で、素行にも問題がないどころか、これほど跡継ぎに適していると思われる人もいないと思われる第一子がいるのに、なぜ第二子である自分が跡継ぎだというのか。姉が庶子というわけでもない。
不思議でならなかった。

そしてもう一つ、つい最近友人から聞いて驚いたことがあった。
普通は、姉妹で一緒に入浴したり、着替えたり、眠ったりすることがあるのだという。大きくなればそれもなくなるそうだが、ほんの小さい頃から10歳を過ぎたあたりまでなら、ごく自然なことだそうだ。
しかし、そのいずれも真耶には経験が、少なくとも記憶はなかった。それどころか、姉の寝間着姿も、水着姿も見たことがない。いつもふんわりとしたロングスカートを履き、きちんと身だしなみを整えている。
わずかなりとも、くつろいだところや、ましてや乱れたところなど見たことがなかった。

そんな完璧としか思えない姉が自慢であったが、少し、寂しくもあり、悔しくもあった。
真耶は、愛しい姉のことは、すべて知りたかった。
その一心で、真耶は紗夜の部屋に忍び込むことにした。
浴室はそれぞれの部屋に備えられている。
自分が入浴する際には常に使用人が手伝いをするが、紗夜は基本的に一人である。昔から仕える使用人がわずかに手伝うと、後は一人で入浴している。
その、使用人が部屋を出て行った後、そっと部屋に入った。
浴室からシャワーを使う音がするのを確認しながら、素肌の上に直接纏っていたガウンを脱ぎ落とす。
ゆっくり、なるべく細く扉を開けて浴室へ滑り込む。まだ気付かれていないようだ。
そろそろと近付くと、シャワーカーテンを開けると同時に姉の身体に抱きついた。
「姉さまぁっ」
一度触れてみたかった、ふくよかな胸を鷲掴む。思った通り、自分の手からはこぼれ落ちるほどの大きさだった。顔を覗き込もうとしたところで、青ざめた姉と目が合った。
「ま、真耶…?」
震えながら自分を見下ろす姉に、にこにこと笑いながら、今度は正面から抱きつく。身長差があるため、姉の胸の谷間を覗き込むような位置になる。
「一緒にお風呂入ろうと思って。姉さまのおっぱい、やっぱりおっきーい…?」
下半身までぴったりとくっついたところで、違和感を感じてわずかに身体を離した。
「だ、だめ…」
囁くような声で言いながら、紗夜が手を下半身へと伸ばす。真耶はその手を払いのけると、かがんでそこをまじまじと見た。
「やめて…真耶…見ないで…」
再び伸びてきた手を掴み、もう片方の手が伸びれば、ぴしゃり、と音を立てて打ち払う。
「なに…これ…」
そこには、何もなかった。
真耶にもあり、どんな人間にも存在する男性器が、まったく見当たらなかった。
繁みに手を突っ込むが、やはり見当たらない。
「んっ…やめて、真耶…!」
「動かないで!」
抵抗しようとする紗夜を怒鳴りつけ、繁みの中へ、さらに親指を突っ込む。ふっくらとした割れ目の奥に、小さな突起を感じ、ぐり、と押してみた。
「ひぁっ!」
やはり男性器の感触とは違う。小さく悲鳴を上げた姉を鋭く睨みつけながら、真耶はそこをぐりぐりと捏ね回した。
「姉さま、これは何?おちんちんではないの?」
「ひぁっ…あっ…だ、め…やめて…」
顔を真っ赤にして俯く姉に苛立ち、それを強く摘まんだ。
「ひぃっ…!」
紗夜は膝をがくがくと震わせ、目を潤ませて唇を噛む。
「答えて!」
摘まんだまま、引っ張った。
「ひぐっ…ち、ちが…それ…く、クリ、トリス…」
「くりとりす…?」
訝しげに復唱したところで、数年前に学校で教わった内容を思い出す。

人は、男性器と女性器を共に持つ。が、まれに男性器を持たない人がいるのだという。そして、男性器を持たない『女性型』は、生殖能力がないのだ、と…。

真耶は、摘まんでいたそれから慌てて手を離した。紗夜は、がくりとくず折れるようにその場にしゃがみ込む。
友人たちと「まるで出来損ないね」と笑った、『女性型』。
あれほど完璧だと尊敬し、憧れていた姉が、まさかその「出来損ない」であるとは…。
「嘘よっ!嘘よ嘘うそ!くだらない嘘つかないで!」
半狂乱になって叫ぶ。
「真耶…」
シャワーのお湯か涙かわからないが、ぐしゃぐしゃに濡れた顔の紗夜が縋るように手を伸ばす。
「触らないで!」
払ったところで、勢いよく浴室の扉が開いた。
「紗夜様っ…真耶様!」
姉付きの使用人が、驚きの表情で飛び込んでくる。
唇を噛み締めながら、二人を引き離した。


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