『SWING UP!!』第15話-9
「ん……ちゅ……ん、んん……」
唇が浅く深く、そして、熱く絡み合う。互いの唾液と空気と、そして、想いを分け合うように、何度もついばみ、吸い合い、そして、重なり合った。
「んっ……」
結花の喉が、鳴った。口の中に、航の舌が入ってきたからだ。
「んふ……ん……」
そのまま受け入れて、歓迎を意を表すように、自分も舌を使って、航のそれに絡みつく。
「は、ふ……んん……む……んふ……ん、んっ……」
「……っ……ん……」
唇の間を行き来する互いの舌先。その艶かしい感触に酔いしれながら、二人は夢中になって、舌と唇を交叉しあった。
「あふぅ……ん……ちゅ……んむ……んんっ……」
「ふ、む……ぅ……む……むむ……」
はじめての“ディープ・キス”を、二人はしかし、まるで熟練したカップルのように、遠慮なく存分に堪能する。
「ぷはっ……んむっ……ん、んん……んむ……」
「はふっ……むむっ……む、むぅ……んむ……」
途中で呼吸をはさみつつ、しかし、唇を少しでも離すことを惜しむように、とにかく二人は、深い接吻に夢中になっていた。
「はふぅ、はぁ、はぁ、はふ……」
「ふぅっ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
興奮が過ぎて、呼吸がどうにも追いつかなくなったので、やむなく“小休止”を入れる。唇は互いの唾液で煌いて、幾重にも走った銀の糸が、その激しい貪りあいを、これでもかとばかりに表現していた。
「結花っ……」
「あふんっ……!」
航は興奮に煽られるまま、結花の体をベッドの上に押し倒した。そしてそのまま、唇をもう一度、重ね合わせると、今度は唇だけでなく、頬や首筋にも、キスの嵐を浴びせ始めた。
「あふっ、んっ、わ、わたるっ……く、くすぐったいっ……!」
「結花は、いいにおいがする……」
「も、もうっ、ん、ひゃっ、あ、あっ……!」
首筋を這うように、航の唇が上下に行き来する。吐息を交えたその絶妙な肌触りが、甘さを伴うくすぐったさを結花に与え、その身を捩じらせた。
「の、のぼせちゃう……わたる……あっ、わたるぅ……」
唇の感触を所々に残し、そこをホットスポットにして、結花の体は異様な熱量に覆われて、官能の炎をくゆらせ始めていた。
「結花は、くすぐったがり、だな」
ぱくり、と、“福耳”と言うべき豊かな耳たぶに、航は甘く噛み付いた。
「んっ!」
耳たぶには神経がそれほど通っていないにも関わらず、電撃的な愉悦が背筋を一気に駆け巡り、結花の身体が大きく反った。
はむ、はむ、れろ、れろ、れろ……
「み、耳ばっかり、キス、してっ、あ、アンッ、あっ、く、くすぐった、あ、あぁ、あはぅっ……!」
耳の縁をなぞるような舌の動きがあったかとおもうと、裏側に吐息を吹きかけられ、そして、またしても耳たぶを噛まれて、舌先で縦横無尽に嬲られた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
耳に受けたキスの雨だけで、結花は相当に、参ってしまった。そのあらぶる呼吸に混ざる、艶めいた色合いは、官能のくすぶりが更に強くなりつつある事を、航に伝えるに充分であった。