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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第15話-8


 意外なようだが、航が結花の部屋に入るのは、初めてのことだった。
(結花が、あれだけ動けるのが、よくわかるな)
 まず目に入ったエアロバイクを始め、トレーニング用の機材がそこかしこに置かれているのを見て、航は、結花の運動能力の高さが、その資質だけでないことを改めて確認した。間違いなく彼女は、“努力家”である。
(でも、やっぱり、女の子だな)
 タンスの上と机の周りには、“ぱんくま”を始めとしたいわゆる“ゆるキャラ”のぬいぐるみが、所狭しと飾られていた。
 ちなみに、部屋の主である結花はいま、ここにはいない。航を部屋に通すなり、彼女は、シャワーを浴びに行っていた。“禊”のためである。
(………)
 待つ身のじれったさを抱えながら、航は、部屋の中央で待つ。視線がどうしても、ベッドに向くのは、これから自分たちがしようとしていることを、意識してしまうからだ。
(………)
 当然ながら、航に女性経験はない。年頃の男子なので、紙面(エロスな本含む)による情報はそれなりに得ているが、実践したことはないので、未知の領域に今から踏み込もうとしている状況に、試合に臨む時以上の緊張を覚えていた。
「お待たせ…」
「!」
 座禅を組むようにして、しかし脳内では煩悩と妄想を膨らませていた航は、部屋のドアが開いて、結花が姿を表したとき、その全てが真っ白になった。
 結花は、上はTシャツに下はショーツだけという格好だった。シャツの丈が太股の中央まで届く長いものだったので、ショーツの色と柄はわからないが、逆にそれがエロスを増大化させており、あまりにも扇情的な姿形であると、言わざるを得ない。
「………」
 煩悩と妄想が暴走して、鼻から飛び出すのを、何とか堪える航であった。
「こ、こんどは、俺の、番だな」
「う、うん。バスタオル、用意してあるから、好きに使ってね」
「あ、ああ。ありがとう」
 かけらほどの理性を拠り所にした航は、しかし、自分がどういうふうにしてシャワーを浴びて体を綺麗にしたか、覚えがないくらい空白状態のまま、部屋に戻ってきた。
「!!」
 そして、ベッドの上に“ちょこん”という擬態語を当てはめたい様子で、座って待っている結花を目にして、かけらの理性は一握の砂になった。…ちなみに航も、結花を倣うように、上はTシャツ、下はトランクスである。
 つまり、お互い、体も心も、用意は万端ということだ。
「結花」
「あっ」
 だから、航はすぐに、結花の待つベッドの上に膝立ちで乗りあがると、彼女の体を抱き締めていた。そのまま押し倒さなかったのは、一握の理性が働いたからだ。
「俺は、初めてだから、上手くはできないと思う。でも……」
「?」
「なるだけ、優しくする」
「うん……」
 早鐘のように打つその動悸を思えば、航がギリギリのところで理性を保っていることはよく分かる。それでも、自分のことを慮る気持ちをなくなさないように努めていることも感じられて、結花は、航のことを好きになって本当によかった、と、幸せな気分にくるまれた。
「好きだ、結花」
「わたしも、好き……」
 瞳の中に、互いの顔を見合って、結花と航は、そのまま唇を重ね合わせた。


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