診察番号2-1
『…なるほど!佐々木さん、今日はその下腹部の張り検査してみましょう?』
そう伝えると、医師は彩を室内の奥にある内診台に案内した。
床にはカゴが置かれている。
『では下着を脱いで頂いて、この台の上に座ってください』
『あ、はい…』
お腹の痛みでこんな検査をしたことのない彩は、少々疑問に感じながらも素直に応じる。
『先生すいません……台?…ですか…?』
着替えの間に席を外した医師に彩は声をかけた。
指示したとおりカゴに下着を納め、腰ぐらいの高さの内診台に、彩は緊張の表情を浮かべ座り始めた。
伸びた素足、落ち着かない彼女はスカートの裾を掴み、太腿のあたりを両手で押さえている。
『リラックスしてくださいね』
医師は気遣うが、眼鏡のレンズが怪しく光ったのを彩は見逃さなかった。
『失礼します。脚を少々開きますから』
出産も経験したことのない女子大生の彩、生まれて初めての内診台に恥じらい目を泳がせた。
『あの…先生?…あ、いえ…』
軽々と持ち上がる右足。
彩が尋ねかけた時、左足も簡単に宙に浮かびまもなく台に乗せられると、彩は呆気なく開脚した。
『大丈夫ですから…ねっ?』
背もたれのある台座に座り、彼氏以外の他人の前で開脚している姿に思わず羞恥する彩。
『佐々木さん、検査中ごく稀にバランスを失って落ちる患者さんもいますから、固定させてもらいますよ』
『え…!? 落ちる?? 固定!?』
医師の言葉がまるで連想ゲームのように頭に響き、これから何をされるのかが理解できない。
でも、すぐにわかった。
(バリッ バリッ)
足が乗せられた台の下から黒いマジックテープのようなバンドが伸び、右足、左足の順番に膝の上辺りで巻き付いた。
『何ですか?これは…!?』
『これで安全に検査出来ますから安心してくださいね』
『えっ!? えぇ!?』
体をよじっても、座面より高く脚を浮かせ開脚固定された状態では、なにも出来ない。
『佐々木さん、その両手でシャツをお腹まで捲ってください』
『えっ?あ、はぁ はいっ…』
スカートの裾を握り、開かれた脚の付け根を隠していた彩に医師は坦々と指示する。
疑いの目はあっても、指示にはきちんと従う従順な彩の性格をまるで見抜いている。