里美 第7話-3
里美の体は小刻みに震えていた。
足下の水たまりは、太ももからふくらはぎを伝って流れてくるもので、だんだんと広がっていっている。
「……」
里美は、うつむいたまま黙っている。
「あの…大丈夫ですか?」
「……ごめんなさい…恥ずかしぃ」
里美が消え入りそうな声で言った。
その間も、ちょろちょろと滴り落ちてくる。
(どうするだろう?この人)
里美は、少しづつ小便を漏らしながら、気づかれないように観察していた。
「あの、何か出来る事が有れば言ってもらえたら。。。」
「……お仕事の途中で、ご迷惑かけたら…」
「いえ、いいんです。言って下さい」
男は靴を脱いで上がると、足下に気をつけながら里美の近くに寄ってきた。
「じゃぁ…すみませんけど、、あの…浴室に連れて行ってもらえますか」
里美は立っているのも、やっとみたいにして言った。
男は回りを見渡すと、ドアを見て少し開け、脱衣所を確認するとドアを開いた。
それから、里美のところへ帰ると手を差し出した。
里美はその右手に、自分の両手を重ねて体重を預けた。
両手を離した事で、ネグリジェの前の部分がはだけ乳房の谷間とへそ、そして黒い翳りが男の目の前に露わになった。
男は左手も出すと、里美の右手を持った。
そして里美が少し前かがみなった事で、両方の乳輪の近くまで、はだけてしまっている。
男から支えてもらって、よろよろと歩き、脱衣所へ入った。
脱衣所へつくと、また壁にもたれかかって、男の顔を見ない様にして言った。
「…あの、今日のこと内緒にして下さい。誰にも。。。」
か細い声で、哀しそうに言った。
「もちろんです。お客様のプライバシーはどんな事が有っても守ります、だから遠慮せずに何でも言って下さい」
里美はその言葉を聞いて、ほっとした顔で男を見た。
「あの…そこの脱衣かごに使ったバスタオルがあるので、さっきの…あの。。。」
「わかりました、拭いてくればいいんですね」
前がはだけて恥毛が丸見えになっている、里美の下半身をチラチラ見ながら男が言った。
「いえっ!いえいえ。あの被せてもらうだけでいいんです。あたしのおしっこ拭いてもらうなんて、とんでもないし……いやです」
里美の頬が朱に染まる。
「わかりました。じゃぁ、もうちょっと我慢してそのまま居て下さい」
男はバスタオルを掴むと廊下へ出て行った。
(これ…なりゆきにまかせるしかないよね。。。にしても、あたし具合悪いのに何やってんだろ)
里美はそんなことを考えながら、自分の性癖の強さに、ふっと笑った。
「奥さん、大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
男が帰ってきた時、里美は床にへたり込んでいた。
その姿に、さすがに男も救急車の事を口に出した。