星を数えて act.3-2
心底いいなぁって。
うらやましいなぁって思った。
「今日ここまで迎えに来てくれるんだ」
ドリンクの補充をしながら声だけ聞こえてくる。雨だからか、意外にもお客はこない。
「いいですね〜」
「叶ちゃんは?好きな人いないの?」
一瞬、グッと息がとまった。それは、辛いものがこみあげてきたせいもあるけど。
「よぉ」
崇が、ドアの前に立っているから
言葉が出なかった。
「どうしたの叶ちゃん……」
そういってこちらに来た友希さんは、ドアの前のバイクと彼に気付いて笑顔になる。
「崇臣!!!」
「おぉー友希!迎えに来たぜ」
崇は何事もなかったかのように(まあ彼にとったら何もないけどさ)彼女に話しかける。
ずきずきと痛む心のなかで、さっきの返事をしなくてよかったとため息をついた。