『清子と、赤い糸』-22
「くっ……」
その締まりを受けて、岡崎の昂ぶりも大いに高まったらしい。
ずぶぶぶっ…
「ひっ、け、ケツ穴の、ふかいとこまで……！」
親指の全てが、清子の“尻孔”に埋没した。
ぐにゅぐにゅぐにゅっ……！
「あひぃっ！ け、ケツ穴、ほじくらんといてっ、あ、あっ、やぁっ、ケツ穴、お、おかしくなってまうっ、おかしくなってまうよぉっ……！」
「くっ……いい、締まりだ……！」
異物を排出しようと、括約筋に自然と力が篭もる。それが、両方の孔の締まりを実によくして、更に岡崎の昂ぶりに繋がるというのは、なんとも皮肉なお話であった。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ！
「んっ、あっ、あふぅっ、す、すごっ、く、くしざしっ、くしざしに、されとるみたいでっ、す、すごすぎやぁっ……！」
叩きつけられる腰の動きによって、激しく清子を犯してくる。
「清子、清子……！」
“後背位”になると、岡崎の興奮はいつも高まり、クライマックスに至ると、本当に獣のようになって、あらぶる呼吸のままに突き込んでくるのである。
「あっ、ああっ、ぉぁあぁあぁあぁぁ……」
清子は、身体の奥底から、マグマが隆起してくるような、激しい滞留を感じた。絶頂の爆裂が、すぐそこまで迫っている予兆である。
「ま、まーちゃん、すごいのきそうやっ、ウチ、もうあかんっ、すごいのきて、し、しんでまうよぉっ！」
「お、俺も、もう、止められないっ……！」
「あ、あぅっ、あ、ひあっ、んひぁっ、ああぁああぁあぁっ！」
本能的な衝動に支配されて、岡崎は完全に、雄の獣と化した腰の動きをしていた。“尻孔”に埋め込んだ指はそのままで、ひたすら腰を突き上げ揺すぶって、生殖行動に没頭している有様であった。
「あっ、しぬぅっ………っ……っ……ぁ……っっ……！！」
爆裂は一気に起こった。それがあまりに激しすぎて、逆に清子は、声を喪ってしまった。
びくっ、びくびくっ、びくん、びくん、びくん……
「ぉ、ぁ、ぁあぁぁ……！」
身体が激しい痙攣を起こし、目を剥いて、だらしなく開いた口から舌も顔を出して、涎をひたすら垂れ零す、浅ましくそして淫らな姿であった。
「くっ、あ、うぁっ……！」
清子の全身を覆った痙攣は、当然、岡崎と繋がっている場所にも伝播している。むしろ、一番の痙攣と収縮を起こしているのはその部分なので、剝き身のまま埋没している彼が、耐えられるはずはなかった。
どびゅるっ、びゅるびゅるっ、びゅるるっ……
「んはぁっ、き、きたぁ……まーちゃんの、せいし、きたわぁ……」
絶頂の恍惚に包まれるまま、清子は子宮頚部に浴びる生命の熱気を、ひたすら愉しんでいる。“後背位”は、お尻が上を向いている体勢なので、まるで注ぎ下ろされるように子宮頚部をいっぱいに満たす精液を、清子はまるごと受け止めていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……きよ、こ……」
あらぶる呼吸を整えながら、岡崎の身体が背中に覆いかぶさってくる。それを受け止めながら、清子の体も、脱力して完全に伏せた格好になった。
「まーちゃん、重い、で……」
「すまん……」
「ふふ……だいぶ、ハッスル、したんやなぁ……」
背中に感じる岡崎の重みが、それでも、清子には嬉しかった。
「きよこ……」
「ん……まーちゃん……ん、んん……」
頬ずりをされて、少しだけ横を向いた清子の唇に、岡崎のそれが触れてくる。
「んふ……あふ……ん……んぅ……」
舌も伸ばして、吸い付くようにその唇の感触を味わって、“後背位”のまま終わった３ラウンド目の“後戯”を愉しむ二人であった。
「ふふ……まーちゃん、ウチの、その、おケツに……指、全部入れよったな……」
「あ、ああ……ちょっと、やりすぎたか……？」
当然ながら、もう抜かれているが、“尻孔”に親指全てがめり込んだ感覚は、まだ残っている。指を入れられること自体は何度もあったが、あそこまで深く抉られたのは初めてだった。
「べつにええよ……ウチの全部、まーちゃんのもんやし……」
ちゅ、ちゅ、と、何度も岡崎の唇に吸い付きながら、清子は囁くように言う。
「ウチの“初めて”は全部、まーちゃんに、あげるんやから……」
「清子……」
二人はまだ“肛門性交（ア＊ル・セックス）”の経験はない。この１週間で、既に三十回を越えるまぐわいをしているが、指で触れることこそあれ、岡崎の本体を迎え入れたことはなかった。ゴムがない、ということもある。“肛門性交（ア＊ル・セックス）”はなにかと準備が必要なのだ。
「それとも、“新婚初夜”まで、こっちは、とっとこうか……？」
ふと、悪戯っぽく八重歯を覗かせて、清子が言った。冗談めいた口調であったが、“新婚”という言葉に、彼女の相当な想いが乗っていたのは、間違いないだろう。
「そうだな……ぜひ、そうしたいな……」
「んっ……まーちゃん……」
何度も唇が、重なり合う。清子の想いを受け止めた、岡崎の気持ちが篭もっていて、とても幸せな余韻を残すキスであった…。