少しずつ-5
「なんだ。俺の優しさに胸がキュンとしたのかと思ったのに」
正解です。
「はいはい。」
「これ、結構重いよな。お前ひ弱そうだから大丈夫か?あぁ、
加奈子がいるからいいのか。あいつタフそうだもんな」
ちょっとだけイラっとする。
加奈子はいいヤツだけど。本当にいいヤツだけど。
「そんなことないよ。加奈子のときもちゃんと手伝ってよ。あ
、コータと加奈子は仲いいから私がわざわざ言うことないか」
「何それ」
「え、なんでもないよ。もう少しだから手伝って」
「…」
「ありがとう。助かったよ。気をつけてね」
「…」
余計なことを言ってしまった。
これでますますコータと私は遠くなってしまうんだろう。せっ
かく優しくしてもらったのに。
言った言葉を少しずつ後悔し始める。
「…。俺、別に家近いから飲み誘われるだけだし。加奈子が俺
のことどう思ってるかはしらないけど、俺は何とも思ってない
」
「そっか」
加奈子、ごめん。
でも、嬉しいの。
「んじゃ、今度はお前と飲む。」
え、やった!
「誰かかわいい子連れてきて」
「へ?うん、わかった」
ぬか喜びだったみたい。
コータは私なんか目に入らないようです。
4.
「かんぱーい!」
コータものりのり。私の友達ものりのり。
本当に実現しましたよ、飲み会。
「ゆかりちゃん、はじめまして」
って、これは合コンか?
「中川、俺は合コンのつもりだけど。だよなー?」
「ゆかり、でかした!理系だからなかなか合コン誘ってもらえ
なくて。コータ君ありがとう」
「いやいや、中川と違ってまじでかわいい子ばっか。俺も嬉しい」