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『桃子記念日』
【痴漢/痴女 官能小説】

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『桃子記念日』-9

(さて)
 深夜になり、桃子は部屋を後にした。ちなみに、ルームメイトにして中学校以来の親友である柏木由美は、女子バレーボールの日本代表選考合宿に参加しており、寮を不在にしている。
(抜き足、差し足、忍び足…)
 静寂が覆う廊下を、足音もなく進んでいく桃子。今彼女は、自分自身を“くのいち”に見立てて、完全にそれになりきって、行動している。
(坂場遼子のお部屋に到着)
 遼子のルームメイトは、女子バレーボール部のレギュラー・メンバーのひとりであり、柏木由美と同じく日本代表選考合宿に参加しており、今この部屋には、遼子しかいない。

 カチャ…

 と、静かにドアノブをあけ、二段ベッドの下で寝息を立てている遼子の側に忍び寄ると、音もなくそのベッドに身を乗り上げ、
「………」

 むにゅ…

「!!??」
 おもむろに、豊かな遼子の乳房を鷲づかみにして、深く揉み込んだ。
「きゃ……むぐっ……!」
 声を挙げそうになった遼子の口に、いつのまにか手にしていた猿轡をはめこむ。
「むぐっ、むぐむぐっ」
 混乱したように遼子の身体が跳ねるが、二の腕ごと胴体をしっかりと太股で極めているので、桃子は微動だにしなかった。

 むにゅむにゅっ……

「んふぅっ……!」
 遼子の喉が、普段よりも高いオクターブで鳴る。男っぽさを装っているが、本当は乙女で、可愛い一面があることを、桃子はよく知っている。なにしろ、遼子の持ってるパンツはいずれも、“ぱんくま”という、ゆるキャラの絵柄のものばかりだ。
「遼子、ストレスを相当、溜めこんでるでしょ? 遠慮なく、気持ちよくなってよ」

 むにゅ、むにゅむにゅむにゅっ……

「んんふぅっ、んんっ、んん〜〜〜!!」
 ひときわ激しく、遼子の喉が反った。そして、四肢に力が強く篭もったかと思うと、すぐにくたりと脱力して、猿轡の奥で、間げきの短い呼吸を繰り返した。
「おやまあ、おっぱいで瞬殺とは…。想像以上に、溜まってたのねぇ」
 桃子の“セクハラ・マッサージ”を受けて、わずか数秒で遼子は陥落してしまっていた。潤んだ瞳で桃子を見つめる遼子の醸し出す色気は、さしもの桃子でも、背筋に甘い刺激を走らせるほどだった。
「ふふ。可愛いわ、遼子」
「……ぶはっ」
 猿轡を、外す。
「て、てめぇっ、どういうつもりだよ!」
 ライバルに胸を揉まれて、瞬く間に陥落したことが悔しいのか、顔を紅蓮にして遼子が、身体の上に乗っている桃子に、かみつかんばかりに睨みつけてきた。
「夜這いよ、夜這い。今日の遼子、ちょっと放っておけなかったから」
「! よ、余計な、お世話だよ!」
「そうね。余計な、お世話かもね」
 でも、と、桃子は再び、“セクハラ・マッサージ”を遼子に施し始めた。
「あっ、あぁあんっ……!」
 艶かしく“女の声”を挙げて、遼子が悶える。
「……チ、チッ」
 しかしすぐに、我に返ったように桃子を睨み、それでも、身体の動きは止めたままで抵抗はしなくなっていた。


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