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『桃子記念日』
【痴漢/痴女 官能小説】

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『桃子記念日』-32


「うぅぅぅ……」
「泣くなよ、桃子」
「だってぇ……」
 せっかくの“記念日”なのに、アヒルのおまるを使って“大”をするという、無様な姿を夫に晒してしまった。
「おなか、スッキリしたんだろ? 赤ちゃんのためにも、よかったじゃないか」
「でも、でもぉ……」
 夫の胸に取り縋り、恥ずかしさを必死に堪えている愛妻の様子は、とても興奮させるものだった。
「今日は、ほら、“桃子記念日”なんだから」
 そう言って宗佑は、ついさっきまで桃子が見ていたアルバムを取り出し、桃子にも見えるように、もう一度それを広げて見せた。
「ウェディング・ドレスを着た桃子。きれいだったな」
「………」
「俺はな、桃子が大学を卒業するまでずっと、こうなることを夢にも見てたんだよ」
「おにいちゃん……」
 夫の胸に甘えている桃子は、呼び方がまた、過去に戻っている。
「子供が生まれて、歩けるようになったら、あの“シークレット・ガーデン”で、ささやかにだけど、“披露宴”をしよう。そのときに、もう一度、ドレス姿の桃子を、俺に見せてくれ」
「う、うん……」
 やっと、桃子の機嫌が戻った。
「あ、あの、おにいちゃん……」
「ん?」
 呼び名が昔のままでも、宗佑はそれを気にしない。悪くない、とも、思っているからだ。
「えっと、あの……その……」
「……ひょっとして、したくなったのか?」
「………」
 顔を真っ赤に火照らせて、桃子は頷いた。安定期に入った桃子は、いつもより性欲が高まったようで、ちょっとした刺激を受けるたびに、疼いてしまうらしい。
 今回は、便秘が解消された爽快感と、アヒルのおまるを使ってしまった屈辱感が、桃子の身体の中にプラスマイナスの化学反応を起こして、欲情にいたったようだ。
「よしよし、桃子、いっぱい気持ち良くしてやるからな」
「ん……あ、あんっ……」
 いたわりに満ちた宗佑の愛撫が、桃子の体中に覆いかぶさってくる。時には変態的な責めで狂おしくよがらせてくる夫であるが、このように優しい手触りで、満ち足りた気持ちにさせてもくれる。
「愛してる、おにいちゃん……」
「桃子、俺も、愛しているよ…」
 桃子に宿った、新たな命を抱き締めあって、二人はいつまでも、仲睦まじく、その身体を互いに触れ合うのであった…。





〜『桃子記念日』了〜





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