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憲銀の恋
【純愛 恋愛小説】

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嵐の日-2

 憲銀とはこのまま静かに別れたかった。しかし憲銀と携帯で話しているうちに次第に感情が高ぶってきた。

「憲銀に新しい男が出来たとわかって又憲銀の部屋に行く事なんか出来ない。トーミンが又憲銀の部屋に出入りして困るのは憲銀のほうだろう。冷蔵庫の中が空っぽになったらマスターに買ってもらったらいい」

「マスター関係ないね。部屋来たけど直ぐに帰た。トーミン信じないか?」

「ああ、信じない。台風の日、朝までマスターが憲銀の部屋にいたことはよく判っている」

「カットの勉強ね。マスターに教えてもらたね」

「電気の消えた真っ暗な部屋でカットの勉強かね」

 もう何を言っても無駄だと憲銀も悟ったようである。憲銀が今までと全く違った口調で話し出した。
 
「私、生活大事、仕事も大事。トーミン愛してるけどマスター大切。カットの勉強沢山教えてくれる。マスターあの晩だけね」

「これからは大切なマスターに何でもしてもらえばいい。兎に角、もう憲銀とはあわない」

「本当にもうさよならか?」

「ああ、さよならだ」

しばらくの沈黙があった。再び憲銀が話し出した。その声には怒りが潜んでいた。

「トーミン老人、お金少ない。私、中国のお父さん、お母さんに仕送りある。全然足りないね。トーミン家無い。服汚い。私それ嫌ね。マスター店あるしお金も沢山持ってるね。マスター必要。仕方ない」

 憲銀には自分がホームレスであることを隠していた。しかし憲銀はそのことを既に知っていたようである。

「もう止めよう。電話切るから」

 携帯の終了ボタンを押した。又直ぐに携帯が鳴る。今度は携帯の電源を切った。


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