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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-9

「多分あなた達若い子にセックスを我慢しなさいって言ったって、無理な話なのよ。私だって親の目を盗んではやることやってきたんだもの」


さっきまでの石澤母なら、笑う所か突っ込む所かもしれなかったが、今の彼女を見ればそんな事は到底できる雰囲気ではなく、石澤母の言葉を重く受け止め押し黙るだけだった。


「……私の親友が、高校生の時に妊娠しちゃってね。相手の男も真剣に彼女のことが好きだったんだけど、やっぱり高校生ではどうにもできなくて、結局中絶することになったの」


「中絶……」


自分には縁のない言葉だと思っていたが、急にその言葉が身近に感じてしまい、ゾクッと鳥肌が立ってしまった。


「おしどり夫婦って言われるくらい仲のいいカップルだったけど、それが原因で別れちゃってね。それから何年かして、彼女は別の人と結婚して幸せになったんだけど……今度は子供ができにくい体になってしまった」


「え……?」


「不妊治療ってお金もかかるし、肉体的にも精神的にもかなり辛いらしいのよ。それでもずっと耐えて、頑張ってたみたいなんだけど結局最後までダメだった。彼女は多分一生自分を責めてる。

あの時のお腹の子の命を奪った罰だって」


石澤母は、まだ長いタバコを灰皿に押し付けて火を消した。


「私もこうして親になって、彼女のことを親の立場から考えられるようになったんだけど、もし桃子が彼女と同じようなことになったら……相手の男を殺したいくらい憎むと思う」


石澤母は少し鋭い眼差しを俺に向けた。


多分、軽はずみに娘に手を出すなと、本気で牽制しているんだろう。


もちろん軽はずみで手を出すつもりなんて毛頭ないけれど、 二人きりになっていちゃついて……なんて脳天気に考えていた自分の頭の中を見透かされたような気になって、思わず彼女から目を逸らした。


俺は石澤母の気まずい視線を受けながらも、郁美とやり直してから初めて身体を重ねた日のことを、ふと思い出していた。




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