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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS桃子-12

くるりと体の向きを変え、柵から校庭を見下ろすと、校舎の隅の方でカップルらしき男女が、肩を並べて座り、楽しそうに話をしているのが見えた。


二人ともこれ以上ないってくらい幸せそうな顔をしている。


彼氏の方は、時折彼女の髪を優しく撫でたり、彼女の方は彼氏の腕に触れたりと目障りなほどいちゃついていた。


校舎側からはちょうど死角になっているのを知っているのか、時折キスしたりとどんどん大胆な行動に出ている。


そんな様子を見ていると、さっきの石澤とのやりとりを思い出しては苦笑いが自然と浮かんでくる。


またアイツをからかって怒らせて、進歩がねえな。


キス以上の段階に進みたがっているくせに、でもこんな現状でも満足している自分もいる。


……ホントあいかわらずだ、俺達は。


頬杖をついてしばらくボーッとカップルを眺めていたら、どんどんヒートアップしてきたのか深いキスを長々と交わし合っていた。


俺はついつい邪魔をしたくなって、わざと携帯で話をしているフリをしたり、アラームでも鳴らしてやろうかと思い、携帯をポケットから出した。


だが、顔を離した時の彼女の顔がとっても幸せそうに見えたから、やっぱり邪魔するのはやめることにした。


携帯についた青いクマのストラップが、“邪魔しちゃダメだろ”と、俺を睨んだような気がした。


周りがどんどん先に進んで行くからって焦るこたぁないか。


俺達は俺達のペースで、ゆっくり歩いて行けばいい。


やがてカップルは照れくさそうに微笑み合うと、肩を並べて校舎に向かって歩き始めた。


その時、ふと顔を上げた彼氏の方とバチッと目が合ってしまった。


咄嗟ことですぐに隠れることができず、半ばパニクってしまった俺は、彼氏の方に手を振るという、訳の分からない行動に出てしまった。


さっきまでの熱烈なラブシーンを俺に見られていたことに気付いた彼氏は、当然のことながら顔を真っ赤にして、彼女の手を引いて慌てて走り出した。


そんな彼氏の慌てぶりに、クックックッと笑いがこみ上げてくる。


まあ、夢中になってたら他人の目なんて気付かねえよな。


やたら早足で校舎に駆け込むカップルの後ろ姿を見つめながら、


「まあ、お互い頑張ろうぜ」


と、彼氏の背中に向かって小さく呟いた。






―――完―――





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