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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-8

石澤母のモテモテ自慢話はそれからしばらく続いた。


週一ペースで告られたこと。


自分を巡った乱闘事件で警察沙汰になったこと。


学校のほぼ全生徒が自分に想いを寄せていたこと……などなど。


もはや本当にモテる女でも有り得ないエピソードを次から次へと話す石澤母に、俺は少々疲れてしまい、話半分で聞いてしまうようになった。


石澤母のホラ話も次第に右から左へ通り抜けるようになってきた頃に、彼女はやや神妙な顔つきになって、


「まあ、私はこれほど恋愛経験が豊富だったから、あなた達高校生の気持ちはよくわかるし、寛容でありたいとは思うんだけど」


と、わざと冗談めかしたような前振りをして、居住まいを正した。


初めて見せる石澤母の真剣な顔つきに俺も身構え、つられて座り直す。


多分、空気が変わったのは気のせいではない。


さっきの突っ込み所満載の石澤母とは違うと言いきれるのは、彼女の顔を見れば明らかだった。


「親としては、いくら理解あるスタンスでありたいとは思っていても、性行為についてだけは、禁止しなければならないと思っているの」


石澤母は今までにない真面目な顔で俺を見つめた。


「とは言っても、もちろんあなた達くらいの若い子って、そういう行為に興味を持つのは自然なことだってのはわかるし、大人がいくらセックスを禁止した所でそれを律儀に守るわけがないってのもわかるわ」


「…………」


石澤母はそこまで言うと急に立ち上がり、ダイニングテーブルからタバコとライターと灰皿を持ってきて、もう一度ソファーに座った。


見た目からはスモーカーなイメージがなかっただけに、少し驚いて彼女がタバコを口にくわえる様子をジッと見つめていた。


「だったらね、土橋くん。桃子に指一本触れるなとは言わないけど、せめてこれだけは守ってほしいの」


タバコに火をつけ、ゆっくり口から煙を吐き出す石澤母は、少し怖い顔をしていたので、自然と体から汗がジワリと滲み出てきた。


「……ちゃんと避妊はしなさい」


少し低い声で話す彼女の真剣な様子に、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。



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