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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-7

俺の不信感いっぱいの視線にも全く気付いてないようで、石澤母は頬に手をあてながらウットリ目を閉じている。


「私と付き合いたくて、大勢の男の子がよく喧嘩してたのよ」


信憑性ゼロの話に、俺は俯いて必死に笑いをこらえていた。


なんとか気を紛らわせるため、すっかり冷めたコーヒーを口に含んだ所で、石澤母が突然、


「土橋くんは知らないだろうけど、桃子の友達で郁美ちゃんって芸能人みたいに可愛い娘がいてね。私その娘みたいな感じだったのよね」


と、しれっと言い放ったので、俺は思いっきりコーヒーをブーッと噴き出してしまった。


目を丸くして俺を見ている石澤母に、


「……すいません」


と謝り、テーブルの上に置いてあったティッシュを2、3枚失敬すると慌ててテーブルを拭いた。


郁美? 言うに事欠いて、若い頃は郁美のように可愛かっただって?


郁美のことを思うと胸が痛くなるけど、石澤母の言ったことはとても聞き捨てならなかった。


郁美は確かに芸能人にいそうなくらい可愛い、それは納得だ。


だが、目の前のこの人が郁美みたいだったとは天地がひっくり返っても有り得ない。


「郁美ちゃんを見てると、ホント若い頃の自分を見てるようなのよ」


……この顔は本気だ。自分は本気で郁美みたいに可愛かったと思い込んでいる。


どこをどうすれば、こんなに自信たっぷりに図々しいことを言ってのけれるのだろうか。


どちらかと言えば、石澤は自分に自信がなくてネガティブな性格をしてるのに、親であるこの人は正反対の性格してるし、ホントに親子なのか疑わしくなってくる。


でも時折出る笑い声なんかは石澤と少しダブってしまい、やっぱり親子なんだよなあ……と思うとなぜだかため息が出てきた。



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