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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-6

どんどんはまっていく石澤母のペースに、俺は食欲をすっかり無くしてしまい、テーブルの上にそっと食べかけのプリンを置いた。


なんとなく、石澤が俺を家に連れて来たがらない理由がわかった気がした。


初対面の娘の彼氏に、こんなデリケートな質問をズバズバしてくるなんて、手強いどころか手に負えないぞ。


俺はいつの間にか不安そうな顔になっていたのだろう、石澤母は明るい声で


「まあまあ、若い子はそういう下心があって当然よ。だからあまり気にしないでね」


と、慌てて俺をフォローするかのようにそう言って、お茶請けの煎餅を勧めてきた。


……お母さん、“気にしないで”って言う前に、自分がずいぶん失礼なことを言っていることに気がついて下さい。


本当はそう言いたかったが、さすがにそんな事は言えるわけがなく、だからと言ってつっけんどんな態度を取れる相手でもないから、俺は小さく頭を下げて素直に煎餅を受け取り、ピリッと袋を開けた。


すっかり失せてしまった食欲に、食べたいなんて気持ちは湧き上がるはずもなく、機械的に口に煎餅を運んで噛み砕いた。


「私はね、あなたぐらいの頃はモテモテで経験豊富だったから、男の子がどんなこと考えていて、どんなことしたがるのかは手に取るようにわかるのよ」


噛み砕いた煎餅をさらにギリッと噛み締め石澤母を見る。


……嘘つくな!


つぶらな小さい目、低い鼻、おちょぼ口、ぷっくらした頬、失敗したとしか言いようのない、ショートヘアにかけられているグリグリパーマ。


もちろん当時とは違う髪型だとしても、たとえ当時は痩せてたとしても、よくて“愛嬌がある”レベルであって、決して“モテモテ”ではないはずだ。


それに、本当にモテる奴は自分をモテるとは言わない、と思うのだが。


俺は眉をひそめ、疑惑の目をこっそり石澤母に向けた。



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