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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-4

なんと言葉をかければいいのか考えている俺に、


「だから、今日はあの娘にお見舞いって、男の子の友達も来てくれたのがとても嬉しかったの。それだけじゃなくて、こんな素敵な彼氏までいたなんて」


と、石澤母はとても優しそうに微笑みかけてくれた。


俺はそれがやけに照れくさかったけど、とても嬉しくなって小さく頭を下げた。


和やかな彼女の表情にようやく少しリラックスできたので、俺は目の前に置かれたプリンに手を伸ばして、チビチビ食べ始めた。


「4月からってことは、桃子とは付き合って三カ月になるのね」


「……はい」


やはり鈴木屋は美味い。


ここのプリンは初めて食べるけど、まろやかで口の中でとろけてくる。


返事をしながらも、初めて食べる鈴木屋のプリンに舌鼓を打っていると、石澤母が


「……桃子とはどこまで進んだの?」


と、いきなり踏み込んだ質問を浴びせてきたので、咄嗟に俺はゲホゲホとむせかえってしまった。


「す、進んだって……」


苦しくて涙目になりながら彼女を見やると、先ほどの優しい微笑みから一転して、茶化すような意地悪な笑みを浮かべていた。


「だから、AとかBとかCってことよ。三カ月も経ってるなら当然何かしらはやってるとは思うんだけど」


質問内容も恥ずかしかったが、ABCなんて古めかしい言い回しの方が違う意味で恥ずかしくて、俺はあからさまに苦笑いを浮かべてしまった。


俺の苦笑いにつられたのか、石澤母はギャハハと豪快に笑い出し、個包装された煎餅の袋を破ってバリバリ食べながら、再放送のドラマに目を移した。


画面は主役らしい男とヒロインらしい女が、何やら仕事上のトラブルについて激しい言い争いをしている所だった。


「……このパターンも見え見えなのよね。喧嘩ばかりしてても最後はくっつくってヤツ。どうせ次、男はこの女に手を出すわよ、見てて」


感情が高ぶり泣き出した女に、すかさず男がキスをした。


女も最初は驚きと怒りで男からの強引なキスに抵抗していたが、徐々に抵抗する力が弱まり、最後は女の方も男の体に腕をまわしていた。


「ね? 男の方はこれが狙いだったのよ。土橋くんも同じ男なら気持ちわかるんじゃない?」


まるで、“男って下心ばかりでしょうもないわね”って言いたげな顔でニヤニヤ俺を見ている。


俺は“いやあ、どうなんですかね”とただただ曖昧に笑うことしかできなかった。



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