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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-5

ドラマがCMに差し掛かると、石澤母は再び俺の方に向き直ってきた。


さっきの穏やかで優しそうな石澤母の姿はすっかり消え失せ、がさつなオバチャンに成り代わった石澤母の雰囲気に呑みこまれた俺は、すっかり萎縮してしまい、肩を狭めて俯くだけだった。


「まして土橋くんは高校生なんだし、そういう元気は有り余ってるでしょ? ね、桃子とはもうやったの?」


遠まわしに探りを入れてるつもりの石澤母。


なんというか……ジャブを入れてるつもりなんだろうけど、さり気にストレートをぶち込まれているような気がしてならない。


勝手な偏見をぶつけられ少々イラッとしてしまったのは事実だが、あながち的は射ていたので強く否定はできなかった。


「……してませんよ」


精一杯の反抗のつもりで、素っ気なく答える。


「あら、そうだったの? 顔のわりに意外と奥手なのね。じゃあ、キスくらいは済ませたのかしら?」


石澤母は驚いた顔で俺を見つめている。


悪気はないんだろうけど……、なんかこの人失礼だよな?


小馬鹿にしたような言い草に少しムッときたので、


「それはとっくにしました」


と、ついついのせられ答えてしまった。


「……そうだったんだ。へえ、あの桃子も大人になったものねぇ」


と、ニヤリと笑う石澤母を見て、うまく引っ掛けられたことに気付いた俺は、赤い顔を見られないように黙って俯いた。



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