第１章-2
「はい」
と中から声がして、利佳がドアを開けてくれた。
「どうぞ」
祐志は部屋に入った。中には大きなダブルベッドとソファーが置かれていた。祐志は利佳に言われてベッドの端に腰を下ろした。利佳はその前に立つ。
「じゃ、北岡さん、そろそろ始めようか」
「何を？」
利佳はそれには答えず、いきなりスカートのホックを外し、ジッパーを下ろしてするするとスカートを脱いだ。中にはかわいらしいレースのショーツを穿いていた。
「ちょっと、君、何を考えてるんだ」
祐志の制止に、利佳は意味ありげににやりと微笑んで、今度はブラウスのボタンを外し始めた。しかし上から二つ三つ外したところで手を止め、
「あっ、ここ、前金制なんだ。先に三万円ちょうだい」
と手を出した。
「何を言ってるんだい、君は」
「北岡さん、今さらそれはないよ。ちゃんと私を買ってくれたじゃない」
「君を買った？」
「そうよ。ここでは、踊りながら、ほしい女の子のブラのホックを外すことになってるんだよ。つまりブラのホックを外すということは、その子を買うという意思表示なわけ」
買うという言葉の意味がようやく祐志にもわかってきた。
「ちょっと、君、それ、児童買春じゃないの。犯罪だよ」
「そうよ。こっちだってやばいことやってんだから」
「いや、ぼくがブラのホックを外したのは意図してじゃなかったんだ。あれは外したんじゃなくて外れたんだ」
「もう、北岡さんたら。私、そんなに魅力ない？」
「い、いや。そういうわけではないけど」
「今日は安全な日だから、ゴムなし、中出しでいいわよ」
祐志はごくりと唾を飲み込んだ。利佳はそんな祐志をベッドに押し倒して、自らもその上に覆い被さった。
「ねえ、北岡さん、気持ちいいことしよう」
半裸の少女に押し倒されて祐志は戸惑った。利佳はベッドの上で反転して、今度は利佳が下で、祐志がその上に覆い被さる格好になった。そして利佳は祐志の手を取ると、すでにボタンの外れたブラウスの隙間にその手を入れ、自らの乳房の上にそっと乗せた。
利佳はすでにブラジャーをしていなかった。生の乳房に触れ、柔らかくて温かい何とも言えない快感が祐志の掌から脳裏に伝わった。さらに利佳はその手をくるくると回し始めた。祐志にしてみれば掌で利佳の乳房を転がす格好だ。
いつしか祐志は利佳の誘導から独立して、自らの意志で利佳の乳房を転がしていた。こりこりと瘤のようなものが掌に当たるのは乳首であろう。
「あん、あはん」
利佳は悶え声を上げ始めた。祐志は人差し指と中指で利佳の乳首を挟んでキュッと絞めてみた。感触のいい乳首だ。
「あん、感じるわ。でも北岡さん、それ以上はダメ。先にお金を払って」
「わかった」
児童買春という四文字が最後に脳裏をよぎったが、それを振り切り、すでに祐志のもう一方の手は、ズボンのポケットから財布を取り出していた。