妙な転校生が来た?-8
「で?何の用だ?」
女が生徒会室を出て行き、すっきりした顔でケロっとした男の前に二人は近づき並んで立っていた。
「会長、彼が今日から入った転入生です」
「転入生?」
務めて冷静に言う美咲に、男は首を傾げ、そしてじろじろと好奇の目で猛を見ている間に美咲は端的に男を猛に紹介した。
「下鷺君。この人がその話の生徒会長、深鉤京平(みかぎ きょうへい)先輩だよ」
「ほう、その話の方が興味あるんだが?」
少し癖のある黒い髪に、全てを射抜くような鋭い一重の茶色い瞳。その端正過ぎる顔立ちとは裏腹に、さっきの出来事のようにあまり常識というものを考慮しない性格なのだということが窺えた。
文字通り舐め回すように猛を見ていた生徒会長、京平が美咲の言葉を聞いて興味をそちらに移した。爽やかな微笑みを浮かべる京平だが、猛はかえってその笑みを浮かべられる神経を疑わずにはいられない。
「耳に入れない方がいいかと」
「いい。聞かせろ」
美咲の敬っているのかそうでないのかという微妙な物言いにも頓着した様子も見せずに、京平は言葉を催促した。
ただ、美咲が口を開く前に横目で猛を見たことに、何やら嫌な予感を覚えた猛は思わず美咲に声をかけていた。
「ちょ…上代さん?」
「年中盛った生徒のトップ、だそうです」