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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・上編〜-3

ここの人達はみんな優しい。
若いけど腕の良いコックさんのフィナさん。
彼女の料理はとても美味しくて、私は食事の時間が楽しくなった。
でも、一番優しくしてくれたのはシャルナ様だった。
『貴方の髪は綺麗ね…』
今日はシャルナ様に呼ばれて、部屋に遊びに行った。
シャルナ様は病気らしく、滅多にベットから出れないらしい。
でも、こうして遊びに行くいつも綺麗な櫛で私の髪をとかしてくれる。
『そうですか…? 私はシャルナ様の髪の方が綺麗だと思いますよ。』

私の金色の髪は確かに艶やかだ。 海で海草ばかり食べていたせいかも知れない。
でも、シャルナ様には敵わない気がする。
シャルナ様の髪に比べると私の髪は艶やか過ぎてどうも綺麗と思えない。
『紅様だって、シャルナ様が一番だと言ってますよ。』
『あの人は……私に夢中ですもの…私があの人に夢中なのと同じくらいね…』
シャルナ様はクスクスと嬉しそうに微笑む。
紅様とシャルナ様は、本当に愛し合っている。 それが嫌と言うほどわかる。
ただ、それが少し悲しい。
私は………私も知らないうちに紅様に惹かれていたようだ。 きっかけはわからない。 初めて会ったときはそんな気持ち無かったのだけど。
でも、きっとこの想いは、ずっと私の胸の中にしまわれるだろう。
私は紅様とシャルナ様の幸せを壊したくない。 いや、シャルナ様には敵わないと戦う前からわかっているからだ。
『そうだ、シャルナ様。
私、医術を学ぼうと思っているんです。』
『医術………?』
シャルナ様は首を傾げた。
『はい、私、医術を学んでシャルナ様のご病気を治したいんです!』
シャルナ様は少し嬉しそうに微笑んだが、すぐに悲しそうな笑みに変わってしまった。。
『………私の病気は治せないの。
医術で治るものじゃないのよ………』
『でも、やってみないとわかりません! 私、やります!』
それから、私は紅館の書斎に入り浸った。 シャルナ様を元気にしたい一心で医学書を読みあさった。
独学で医術を学ぶのは大変なことだが、少しづつ理解をし始めていた。
紅様を幸せにしてあげたい。 その役目は私ではない。
シャルナ様に勝てないなら、せめて二人に幸せな日々を長く送って欲しいと思うようになっていた。

紅館に来て、数ヶ月が経った。
もう屋敷の人と馴染み、医術もある程度の治療なら出来るほどに上達していた。
その日も、昨夜遅くまで医学書を読んでいたため、少し寝不足気味な目をこすりながら食堂へ歩いていった。
『おはよう、よく眠れたかな?』
食堂に入ると、紅様が挨拶をしてくれた。
紅様はもう席についていて、その右隣にはシャルナ様が座っていた。
シャルナ様は昼食や夕食は自室で食べることが多いのだが、朝食だけは必ず皆と一緒に食べる。
席は本来自由なのだが、紅様の右隣はシャルナ様の席と自然に決まってしまっている。
そして、私は紅様の左隣に座った。 ここは私の席。 ここに来た当初、まだ他の人に馴染めない私は紅様かシャルナ様の側にばかり居た。 食事も、長方形のテーブルで正面にシャルナ様、右に紅様が居るこの席にばかり座っていたので、いつの間にか固定してしまった。


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