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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・上編〜-2

『………どうした? ウェザ、置いてやれよ。 こんな広い屋敷だってのに。』
犬の獣人がお粥を持って帰ってきた。 猫の獣人とは反対側のベット脇に座り、スプーンでお粥をすくう。
『しかし、シャルナが病気で………いや、そう気にすることでも無いか………
どうだろう、君が良ければ、この屋敷に住まないかな?』
猫の獣人は考えるのを止めたようだ。
『良いの…?』
猫の獣人は微笑みながら頷いた。
『良かったな、ほら、口あけて。』
犬の獣人がお粥を私の口に運ぶ。
『ん……ん………美味しい………』
いつも魚や海草ばかり食べていた私はお粥を食べたことが無かった。 本で読んだことはあったが、味まではわかるわけない。
『あぁ、ウェザのとこのコックは腕が良いからな♪』
犬の獣人はさらに言葉を続けた。
『俺の名前はキシン、フルネームはキシン=キジン=キリンだけど、ややっこしいからキシンって呼んでくれ。』
ニカッと笑うキシン、そしてもう一人の獣人も自己紹介をした。
『私はウェザ、フルネームはウェザ=リスタンス=ウィズフライト。
やっぱりややっこしいからウェザと呼んでくれ。』
私は頷いて、二人の名前をフルネームで覚えようと頭の中で繰り返した。
『ウェザさんと、キシンさん。』
『そうそう♪』
お粥が無くなり、キシンは立ち上がった。
『とりあえず、俺はもう帰るな。
早く元気になりなよ。』
片手で私の頭を撫でて、キシンは部屋を出ていった。
『さて、私も出ていくから、しっかりと休みなよ。
この部屋を自由に使って良いから。 元気になったらもう少し家具を揃えよう。』
ウェザは部屋を見回してそう言った。
確かに家具はこのベットと、机と椅子しか無い。
『紅様、彼女の具合は大丈夫ですか?』
扉が開き、女性が一人入ってきた。
『シャルナ! 駄目じゃないか! 動いたりして!』
ウェザは慌ててシャルナと呼ばれた女性に駆け寄った。
『すみません……私も何かお役に立てるかと思って…』
シャルナはエルフだった。 だが、エルフには珍しく、髪は紫に近い黒髪、瞳も髪と同じだった。
長い髪は腰まで伸びていて、優雅で知性的で気品があって……そして、か細い印象があった。
『さぁ、ベットで寝ていてくれ。 まだ治っていないのに……』
シャルナは私に自己紹介と挨拶だけするとウェザに支えながら、部屋を出ていった。
部屋には私だけが残った。
『………綺麗な人………』

数日間ベットで休んだ後、私は元気を取り戻し、屋敷の中を案内された。
『ここが白竜館。 君や私やシャルナが居るところだよ。
この渡り廊下を渡ると火竜館。 来客用の部屋がある。』
全体的に赤い色で統一されている火竜館を出ると、左手に青い建物、右手に黒い建物が造り途中で、大工が沢山仕事をしていた。
『青い建物は水竜館、黒い建物は黒竜館。 どちらもまだ建設途中なんだ。
水竜館には見寄のない娘や奴隷の娘を集めて、大切に育てる予定なんだよ。』
私はウェザの顔を見た。
『何故そんなことを…?』
『ん………? まぁ、個人的な楽しみかな………』
ウェザは核心には触れていないような話し方で笑っていた。
『君が、最初の一人だね。
ここの名前、つい昨日決まったばかりなんだよ。
ようこそ、紅館へ。』
ウェザはかしこまってお辞儀をした。
私はどうしたら良いのかわからなかったが、よろしくお願いします、とお辞儀を返した。


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