活き作りにされた日-3
拘束を解かれたわたしのからだはその場に横たえられた。筋肉が痺れてしまっていて、手足を動かすことができなかった。
「どうだい、こんなペットを一匹飼ってみるってのもいいもんだぜ」
冗談とも本気ともつかない口調で黒崎が言った。
黒崎はわたしの頭を抱き起こして、強田の方を向かせた。
「ほら、ちょっとは愛想笑いでもしないか」
こんな状況で愛想笑いなんか、発狂でもしないかぎりできっこない、ということがわかっていて、わたしをいじめるために言っているのだった。
わたしは顔に表情を浮かべることができなかった。昨夜からずっと悪どく責められ続けているのだ。わたしの精神は擦り切れてしまっていた。
「おい、どうした。ちぇ、昨夜からあんまりひどくいじめたんで、すねてやがる」
わたしにしてみれば、すねるとかいじけるとかいう段階ではなかった。精神に異常をきたす一歩手前までいっているのだ。
「おい、ほら」
黒崎はわたしの両腕をつかんで、猫が手招きするように手招きさせた。
黒崎の悪ふざけに、わたしの心は冷えきっていくばかりだった。
「ちぇっ、かわいげのないやつ」
黒崎は後ろからわたしの両ひざをつかんで、子供におしっこをさせるように、股を開かせた。
哀れな肉のほころびが露出している感触があった。しかし、わたしの心は動かなかった。
「ちぇっ、恥ずかしがりもしねえ。長い時間かけてずいぶんいたぶったから、とうとうなにも感じなくなったか」
いまいましげに言い放ち、黒崎は立ち上がった。
「天気がいいから、おれは今からテニスクラブに行くよ。佳代は強田さんにまかせる。コンドームを使うこととからだに傷をつけないことだけ守ってよ。あとは煮て食うなり焼いて食うなり好きにしていいよ。佳代も相手が代わったら燃えるだろう」
わたしは驚いた。黒崎はわたしをこの強田という得体の知れない男の餌食にして、自分はいなくなるというのだ。
泣いて懇願したら許してくれるだろうか? それとも黒崎は最初からわたしを犯させるためにこの強田というけだものもみたいな男を呼んだのだろうか?
恐怖にうち震えるわたしを残して、黒崎は出て行ってしまった。