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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館番外編〜大公爵結婚騒動〜-4

『大公爵よ、よく来たの♪』
今日も上機嫌な王だ。
今日は隣にエレン姫も座って、父と一緒に微笑んでいる。
『ご機嫌麗しゅう…陛下、王女様…』
『うむ、大公爵よ。 婚礼の日にちを決めようではないか。
吉日を選んで、猫の月の六日にしようと思うがどうじゃ?』
その日付は一ヶ月後だった。 どうやらかなり急いでいるようだ。
『お言葉ですが…陛下、私は…』
『…まだ姫との結婚を承知せんのか! 大公爵! お主は姫が気に入らんのか!!』
王は怒り、玉座から立ち上がって怒鳴った。
いつもは優しい顔が、今は獅子のようである。
『いえ! そうではありません…』
『では何だと言うのだ!! 返答次第ではお主とて容赦せんぞ!』
どう答えたら良いものか…頭の中で考えてみるが、良い案が浮かばない。
やがて王が業を煮やして再び怒鳴ろうとすると、エレン姫が口を開いた。
『お父様、私は大公爵様とお話がしとうございます。』
怒鳴ろうとしたものを突然止められて表紙抜けた王は振り返り王女を見た。
『あちらの奥にて…お話しとうございます。
お父様もご一緒に…』
姫はそう言うと立ち上がり、一人奥へと歩いて行った。
『………』
残された王も、ばつの悪そうな顔をしながら私にただ一言、参れ、と言い姫の後を追った。

奥の一室、王の家族が住む場所に私達は移動した。
『姫よ、何故ここに?』
『あそこでは他の重臣達が居て、大公爵様も本心では喋れません。
大公爵様、貴方様が私との結婚に応じてくださらないのは……他に愛しているお方が居るからでしょう?』
『な、なんと!』
王が驚いて声を上げた。 私も驚いた、シャナと私の仲は紅館の者以外知らないはずだ。
『……何故お分かりに……?』
『私も女の一人ですわ…大公爵様。』
姫はクスクスと笑う。
『し、しかし…姫よりそんな誰とも解らぬ者の方が良いのかの。』
『お父様、恋に身分は関係ありませんわ。
でも、一度お会いしたいわ、大公爵様、貴方が心を奪われた女性を。』
『うむ…確かに見たいのぉ、堅物の大公爵が惚れたとは…いずれの令嬢は。』
王達は私の相手についての興味が勝り、どうやら姫との結婚についてはなんとかなりそうだ。
『大公爵様、明日の晩に舞踏会が城で開かれますわ。
どうでしょう? その時にその女性と一緒に…』
だが、それは少し難しい問題でもあった。
『そうしたいのですが…私の相手は少し身分が…』
紅館では身分など関係無いがシャナは奴隷の身分、とても舞踏会に出れる身分では無いのだ。
『もしや、その女性とはお主がいつも秘書と言っておるエルフかの?』
『いえ…彼女とは違いますが、私の奴隷の一人です…』
これには姫も驚いたようだ、だがすぐに驚きは興味に変わったようだ。
奴隷という身分ながら大公爵の心を掴んだ。 姫は一層シャナに会いたい気持ちを高めたようだった。
そんな姫の頼みで、王は奴隷の身分ながら、舞踏会に出席することを認めてくれたのだった。


『上手く…行ったようですね、紅様。』
馬車に戻った私をアルネが迎えた。
『あぁ、ただしシャナと一緒に舞踏会に出ることが条件になった。
王も姫も、私の相手を見てみたいそうなんだ。』
『まぁ…それは大変ですね、シャナさん、ダンスなんて出来ますか?』
あ…………
『………』
『礼儀作法は……?
言葉使いは良いですけど、振る舞いなどは知らないと思いますよ?』
『う………』
そうだった…シャナは産まれ育った森を出た後ですぐに捕まり、そしてそれからずっと紅館で生活しているのだ。
人間界の社交的な礼儀などまったく知らないだろう…


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