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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館番外編〜大公爵結婚騒動〜-3

『違うも〜〜〜ん!!』
次の日の昼、丁度皆が働いている時に、私はゼロを膝に寝かせていた。
いや、これはおしおきの…「必殺・お尻叩き」の状態だ。
『じゃあ、なんで話が漏れたかを説明しなさい。 ゼロ。』
『知らないもん!! ゼロゼロは言ってない〜〜〜!!』
『スーに話したんじゃないのか…?
隠し事しないでって、尋問されたり。』
『うっ…』
バタバタと手足と尻尾を動かして抵抗していたゼロの動きが止まる。
『ほら…』
『ち、違う〜〜! そ、そりゃあ…スーちゃんに尋問されたけど…詳しくは言ってないもん…』
『詳しくなくても…言ったんだろう?』
『うっ…』

ゼロは力なく笑った。
『………お仕置き………だな。』
『…ふ、ふにゃ〜〜!! お仕置き嫌〜〜〜!!!』
お仕置きの大義名分とシャナに冷たくされたやつあたり的な気持ちを右手に籠めて、ゼロのお尻に振り降ろそうとした。

『紅様〜』
が、寸前でアルネが扉を開けて入ってきたのでゼロは一命をとりとめた(?)
『なに、アルネ?』
『お呼びだしです、お城から。』
ズ〜ンと気持ちが重くなる。
また結婚を迫られるのだろう。 だが、行かないわけにもいかない。
仕方なくゼロを降ろして、立ち上がる。
『ご主人たま…』
ゼロが申し訳なさそうにしている。
どうやらちゃんと反省しているようだ。
『…はぁ…ゼロ、もう良いよ。 許してあげる。 今更怒っても仕方ないことだもんね…』
そういって頭を撫でてやるとゼロはまた笑顔になった。
『ありがとう♪ ご主人たま♪』
『でも、もう盗み聞きは駄目だからな。』
『は〜い♪ 約束します♪』
元気よく返事をするゼロを帰らせて、出掛ける支度をする。
『それにしても、紅様はゼロに甘いですよねぇ〜』
テキパキと私の支度を手伝ってくれているアルネが呟いた。
『ん? ん〜、まぁ、一応親戚だし。』
ガタン、バサバサ――
机に乗せていた書類などが床に落ちた。
アルネが後退りして机にぶつかったからだ。
『し、親戚!?』
『あれ? 知らなかった?』
『だ、だって話してくれなかったじゃないですか!』
余程驚いたのだろう。
アルネは落ちた書類を拾おうとするが、また落としてしまう。
『いや…知ってると思って…』
しばらくして、アルネが落ち着いた。
『ふぅ…で、ゼロって紅様の〜?』
『私の妹の孫の孫の曾孫の曾孫。』
『ず、ずいぶん長い関係ですね…』
支度を済ませて、馬車に乗り込んだ。
『ゼロは丁度私の妹に生き写しでね。
まぁ、性格は違うけど。』
『それで…妹さんは?』
えっ?
私はアルネの問いに戸惑ってしまった。
『死んでしまったよ。 もう何百年も前に。 寿命で。』
『えっ! 紅様と同じように、不老じゃ…?』
どうやら、アルネは少し勘違いしていたようだ。
私も話していなかったからだろう。
『不老なのは、私だけ。 家族は普通の獣人だよ。
私だけ…突然変異だかなんだか、理由はわからないのだけど老いないんだ。』
『そうでしたか…ごめんなさい…』
申し訳ないと言った表情の時だけ、アルネはシャナに似ている気がする。
『なになに、気にしていないよ♪』
ポンポンとアルネの頭を叩いて、馬車を降りる。
もう王宮に着いたのだ。


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