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『秘館物語』
【SM 官能小説】

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『秘館物語』第2話「訪問者」-3

 ブチュッ!

「ああっ……!」
 全てが望の中から抜き放たれた時、栓を失った腸口を慌てて括約筋で締め上げた。そうしなければ、勢いのままに排泄を始めてしまうからだ。まだ、“場所”に対する逡巡が望には存在している。
(こ、こんなところで……)
 はしたなくも全てをぶちまけたとしたら、壮絶なことになってしまう。なにしろここは、館の玄関からすぐ近くにある踊り場なのだ。
 ほとんど来客もない“秘館”ではあるのだが、ここは全ての部屋から続く通路が重なり合う地点でもあり、故に、必ずといっていいほど館に住む皆は通る場所でもある。
 つまり、望の粗相の名残を、浩志や碧に見られてしまうかもしれないのだ。そんなことになってしまったら、さすがの望も彼らの前では平静ではいられない。
「だ、旦那様……お願いです……」
 せめて、何か容器を。直に柱の根元への排泄だけは避けたい望の意思は、小刻みに震える臀部が全てを語っていた。

 す…

「あ、あっ!」
 そんな望の行為を“反抗”と受け取ったものか、志郎はおもむろに鞭を取り出した。競馬で使われているものを想像していただければ理解も早いかと思う。
 そして、望は知っていた。自分が志郎の意に添わぬ行動をしたとき、決まって彼がその鞭を自分に向かって振り下ろすことを。

 ビシッ!!

「ヒィッ! も、申し訳ありません!!」
 臀部を打たれた。

 ビシィッ! ビシッ、ビシッ、ビシッ!!

 立て続けに、四度。
「あ、い、いやぁ! ご、ごめんなさい! ごめんなさい!!」
 苛烈なその責めに、望は哀願でもって許しを請う。
「ゆ、許して……許して、旦那様……」

 ビシッ! ビシビシビシ!!

「ヒィィィィィィ!!」
 しかし、志郎の折檻は止まらない。
「許して……許してください……」
 望の瞳から、雫が零れた。さすがに尻への打撃は、その痛みと共に彼女の自己をも激しく傷つけているのだろう。
 ややあって、志郎の折檻は止んだ。かわりに、その鞭の先で柱の根元を指差すようにして、望に行為を強いる。
「ああ……」
 もう従うしかない。望は、尻を柱の根元に向かって張り出した。
「ん、んん……」
 直腸の辺りに淀んでいる違和感に対し、自らの意思でそれを体外へ押し出す。

 グルッ、ギュルルル!

「あ、あひっ!」
 待ち侘びていたように、下腹がうねった。
「あ、あっ……だ、だめっ、だめぇぇぇ!!」

 ブリュッ!

「………ッッ!!」

 ブリィッ! ブリブリブリブリ!!

 望の蕾が散華し、まるで吐き出すように黒い塊を柱の根元に叩きつけた。
 われ先にと飛び出した大きな物体が柱に直撃して“ぼとり”と転がると、それを追いかけるようにして、浴びせるような勢いで濁流が次々と排泄されていく。
「あ、ああ……」
 尻を犯すように飛び出していく汚物たち。
 自らの中で精製され、そして、凝り固まっていたものによって凌辱されながらも、望はいつしかその行為に酔っていた。
(き、気持ち……いい……)
 排泄欲は、性欲や食欲、睡眠欲と等しく人の快楽神経を刺激する。それは、生命活動に直結するものだからだ。体の中にある毒素を、排出するための神聖なる行為であるといってもいい。

 ヌリュッ、ヌリュヌリュヌリュ…

「うっ、あぁあぁぁぁ………!」
 長大な連なりを保った物体が、望の中からひりだされた。おそらくは、奥深いところにひそんでいたのだろう。
「あ、あ……で、出る……あぁ……」
 浣腸行為による腸への刺激が、望の中に巣食っていた廃棄物を余さず処理しようとした結果、およそ女のしたものとは思えないほど重量感のある代物を吐き出させているのだ。

 ボトリッ、ボト、ボト、ボトッ……

 それはとぐろを巻きながら、見事なまでの隆起を生み出していた。


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