『SWING UP!!』第10話-5
時に、“まんぐり返し”の体勢は、やはり女性にとっては身体的負担の大きな格好である。なにしろ、腰も足も、思い切り折り曲げられた形になっているから、その体勢が長く続けば、筋肉が必要以上に伸びて痛みを感じることにもなるだろう。
だが、葵は生来、身体がとても柔らかかった。そして、小学校時代から地元の器械体操クラブに所属していたこともあって、後天的な努力も重なり、オリンピックに出場している選手もかくやと思わせるほどの、柔軟な体を手に入れていた。
実際、葵は、体操部で有名な高校からスカウティングも受けていた。しかし、弟の側を離れることなど考えていなかった彼女は、その話のいずれもを断り、体操選手として世に出ることはついになかった。
「あっ、誠治、さんっ……!」
不意に、葵の身体が一瞬硬直した。秘実と秘芯を舌で嬲られているうちに、官能の極みが身体に襲い掛かってきたのだろう。
「うん? どうしました?」
それを察しながら誠治は、舐め回していた舌の動きを止め、顔を起こした。それを抗議するかのように、葵の秘実がびくびくと奥から盛り上がる動きをする。
「おや? 葵くんのここ、いったいどうしたんでしょうね?」
分かっていながら、誠治は、蠢いているその部分を凝視するだけで、手(舌?)を出さない。
「お、お願いです……お願いですからっ……!」
葵が腰を淫らに振って、誠治に続きを促してくる。一瞬だけ見てしまった官能の高みに、早く連れて行ってしまって欲しいと…。
「何をして欲しいんですか?」
ますます誠治はとぼけたようにして、葵を焦らす。両手で覆い隠したその顔に、怨の表情をはっきりと浮かべて、葵は体を大いに揺すぶった。
「な、舐めてっ……! イ、イかせてください! わたし、イキたいのっ、イキたいのぉっ!!」
はっきり言わないと、そうしてもらえない。それが分かっているから、葵は、普段の彼女だったら絶対に言いそうもないような、淫らなおねだりを、誠治に向けてしてみせていた。
「わかりました。…存分に、舐めてあげますよ」
誠治は、ザクロのようになっている葵の秘実に顔を近づけると、かぶりつくように口いっぱいにそれをほうばる。
「あ、ああっ、んくぅぅううああぁぁあぁぁ!!」
そしてそのまま、舌を思いつく限りの動きで蠢かせて、葵の秘実をむさぼり食らった。
びちゃびちゃびちゃびちゃっ……!
「んあぁっ、ああんぁっ、ああぁあぁぁっ!」
果汁の迸りが、更に激しくなった。誠治の顔を蜜浸しにして、葵は悶え狂っている。
くにっ、くにくにくにくにっ!!
「ひいいぃぃぃぅううぅぅぅっ!!」
まるで男性のそれのように屹立している秘芯を咥えられ、先端を前後左右に舌でしゃぶられる。
「も、もうだめっ! と、飛んじゃうっ、飛んじゃいます!!」
葵の限界は、既にそこまで来ていた。それを留める理由もないから、誠治はひたすら秘実をむしゃぶり続けた。
「ああぁああぁああぁぁぁっ……」
びく、と葵の身体が硬直して、喉が重低音の震えを発した。
「ダメッ、もうだめっ、だめぇっ、だめええぇぇぇぇっ………!!」
絶頂反応の、始まりであった。
「あああぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁっっっっ!!」
ぐねぐねぐねっ、と葵の柔らかい身体が、縦横無尽に体を駆け巡る絶頂反応を体現する。
びしゅびしゅっ!
と、誠治の顔面に浴びせかけられる果汁の迸りは、葵の絶頂が遥か高い部分で成されたことを露にしていた。
「ああぁあぁ、あああぁあぁぁ……!」
弛緩と硬直を繰り返して、葵の身体は性の痴態を、誠治の目の前で晒し続けた。
「は、あ……はぁ…はぁ……はぁ……」
ようやくそれらが収まって、葵の呼吸も落ち着いたものになる。
「楽に、なりましたか?」
“まんぐり返し”の体勢から葵を開放して、いまだ両手にかくされている葵の表情を伺うように、誠治が優しく問いかけた。
葵はその問いかけに、ようやく両手を顔から離して、そして、両頬を真っ赤に染めながら、小さな頷きを返してきた。
「それはよかった」
誠治は、右手で葵の頬にふれ、いとおしむように何度も撫でた。葵はそれを悦ぶように、雌猫のように喉を鳴らす。
ややあって、恥じらいを多分に含んだ、困ったような顔をしながら、葵は言葉を発した。
「あの、誠治さんの顔……」
「うん?」
「ひどいことになってます……」
葵の果汁をたっぷり浴びて、まるで汗でもかいたかのように、誠治の顔は濡れ光っていた。
「やあ。葵くんの興奮を、たっぷり浴びてしまいましたからね」
「言わないで、ください……」
自分が潮を吹いたことは自覚している。葵は顔を少し背けて、誠治の苦笑が生み出す羞恥を、なんとかやり過ごすことにした。