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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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接触-8

 じわじわと先走りが中を侵食していく。

それに連れて彼女の体温が上昇するのが分かる。

「まだだ、イクな」

「ひっ・・・あ、ああっ早く、欲しいの、あああ!」

身体ほど昂らない冷めた脳で、アズールはイルの精神を責め立てていく。

気が遠くなるくらいゆっくりとした律動に、時折ピタリと動きを止めればイルは獣のような呻き声を溢し全身を痙攣させる。

熟れた肉壁は今にも溶け出す勢いで脈を打ち、アズールのそれに絡み付く。

「もっと締め付けてくれないと絞り取れないよ。たくさん欲しいだろ?」

「たくさん、注いで・・・っもう、我慢出来ないのぉ!」

「俺をイかせてよ。奴隷なんだろ?奴隷が主人より先にイッたりしたら駄目だよね」

「貴方って、本当に意地悪なのね、っあああ!ダメだめぇっそんなっイッちゃ・・・っ」

「イクな」

自分でも驚くほど低く、冷たい声。

アズールは激しくイルを揺さぶり、それに反した冷静な瞳で彼女を見据える。

手に余るこの女が疎ましくて堪らない。なのに処分出来ない。

自分の責であり戒めであるイルの存在は、アズール自身のようだった。

少なくとも、彼はそう思っている。

彼女を追い立てる度、彼もまた心に巣食う闇に飲まれていく。――そんな気がしていた。


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