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"ちぃちゃん"に勝った!
【幼馴染 恋愛小説】

"ちぃちゃん"に勝った!-4

「あの店のコート欲しいって言ってたろ!」
「でも....そんなの悪いよ....」
「気にするな!親父に言われたんだ!いつもお前の家族には世話になっているんだから、たまには恩返ししろって!」
「でも....私は何もしてないよ!」
雅樹は母親を幼い頃に亡くしている....それで私の母がいろいろとしていた....
「いいから!気にするな!売れてないといいけど....」
店に近づくと、ショーウィンドウにまだコートは飾ってあった。
「良かった....まだ売ってる....」
雅樹はポケットから財布を出して私に差し出した。
「えっ?」
「何不思議そうな顔をしているんだ?」
「一緒に行こうよ!」
「いやぁ....入りづらいっていうか....どんな顔していればいいのか....」
私は組んだ腕を引きずるように雅樹と店に入って行った。
「すみません!あそこのコート見せて下さい!」
店員に声をかけると、店員はコートを持って来た。
「こちらでございますか?」
「ハイ!」
私が頷くと
「ご試着なさいますか?」
「ハイ!」
私はコートを受け取って、試着室でコートを着て鏡で確認した。
試着室のカーテンを開けると、雅樹は所在なさげに離れた所で立っていた。雅樹の感想を聞きたかったがそんな雰囲気ではなかったので
「これいただきます!」
私はコートを脱いで店員に渡した。
「ありがとうございます!」
店員はそう言ってレジに向かった。
会計を済ませて
「ありがとう!雅樹!」
私は雅樹に笑顔で財布を渡した。
雅樹はこの店から出られる事にホッとしているようだった。
「本当にいいの?これ買ってもらって....分割でもいいなら....少しずつ返すよ!」
帰り道雅樹に聞いてみた。
「気にするな!お前が気に入ったのならそれでいいよ!それより....大晦日のカウントダウンの花火一緒に見に行かないか?」
「えっ!?」
「イヤならいいけど....」
「行く!」
私は雅樹にしがみついた。「それじゃ....8時に迎えに行くから!」
「うん!」
私は雅樹にしがみついている手に力を込めた。雅樹はバランスを崩しそうになり
「あまり引っ張るなよ!ケーキ持ってるんだから!」
「ゴメン....」
私達は私の家で一緒にケーキを食べた。




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