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"ちぃちゃん"に勝った!
【幼馴染 恋愛小説】

"ちぃちゃん"に勝った!-1

「ねぇ!千聖はクリスマスはどうするの?」
放課後、校舎を出たところで、友達の美沙が話しかけてきた。
「別に..何も予定はないけど....」
「えっ!?愛しの騎士様と一緒に過ごすんじゃないの?」
美沙はそう言って前を歩いている雅樹を見た。
「あいつにそんな事..期待するだけムダだよ....」
私はガックリと肩を落として答えた。
私は中田千聖(なかだちさと)、一緒に歩いているのは友達の美沙(みさ)、そして私達の前を歩くあいつは宮城雅樹(みやぎまさき)私の幼なじみで片思いの相手....悔しい事にあいつは私の事なんか眼中になくアイドルに夢中だった....あいつが夢中になっているアイドル....それは"ちぃちゃん"こと中田ちさと....私と似た名前....少しの違いが大きな違いとなっている....
「そんな事言ったって、宮城君が"ちぃちゃん"と一緒にクリスマスを過ごせる訳じゃないんだから誘ってみたら?」
「そうなんだけど....」
私が躊躇っていると
「雅樹さん!」
校門を出た所で可愛い女の子が雅樹に駆け寄って来た。
「良かった..もう帰った後だったらどうしようかと思った....これから少し時間いいですか?」
「うん....」
それから雅樹と女の子は並んで歩いて行った。
「千聖!」
私は美沙に声をかけられるまで呆然と立ち竦んでいた。
「行くよ!」
「う..うん....」
私は美沙に手を引かれて歩き出した。
私達の目の前で楽しそうに会話が続いていた。
交差点で立ち止まった女の子が
「雅樹さんクリスマスの予定は何か入ってますか?」
雅樹の顔を見て話しかけた。
「別に何もないけど....」
「良かった....23日と24日なんですけど....」
「大丈夫!空けておくよ!」
「ありがとうございます!それじゃ私は....」
「うん!またね!」
女の子は雅樹と別れて歩いて行った。
「千聖....大丈夫?」
美沙が呆然と立ち竦んでいる私に小声で声をかけた。
「うん....」
私は力なく答えた。そんな私達の声が聞こえたのか雅樹が振り返った。
「可愛い女の子ね!どこであんな可愛い女の子と知り合ったの?」
私はあえて明るく雅樹に話しかけた。
「見てたのかよ!」
「見えたのよ!こんな道の真ん中であんな事話すのが悪いんでしょう!で....どこで知り合ったの?」
「オフ会で....」
「オフ会?」
「うん...."ちぃちゃん"みたいなマイナーなメンバーを推す板があって....そこのオフ会で....」
「あの子は誰を推しているの?」
「"ちぃちゃん"....って何不思議そうな顔してるんだよ!」
「だぁってぇ....」
「お前なぁ!」
「ゴメーン!」
怒ったフリをする雅樹から逃げるように
「行こう美沙!」
私は美沙の手を引いて雅樹から逃げるようにその場を離れた。
「いいの?」
雅樹から離れた所で美沙が話しかけてきた。
「何が?」
「何が?って....宮城君....」
「仕方ないじゃない....自分の気持ちを伝えなかった私が悪いんだから....」
「だったら....」
「私にフラれて来いっていうの?....今さらムリだよ....私..そんなに強くない....ゴメンね....」
私は美沙と別れて家に向かった。
「千聖....」
美沙は何か言いたそうだったが、私は聞こえないフリをした。私が家路についた時、先を歩いているはずの雅樹の姿はもう見えなかった。
「雅樹のバカ!」
私は自分の部屋に入るとベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
「雅樹のバカ!"ちぃちゃん"の事教えてあげたのは私だよ!....あの子は..私より少し可愛くて....おとなしそうで....女の子っぽいけど....」
そこまで言って自分が虚しくなった。少し落ち着いて来た頃、携帯に美沙から電話がかかって来た。
「千聖!24日もし空いているなら遊ばない?」
「えっ?24日は彼氏とデートなんじゃないの?」
「うん!それは夜だから....彼が昼はみんなで遊ばない?って言いだして....彼の友達も来るから..千聖も来ない?」
美沙はそう言っているが本当は逆だろう....きっと美沙から頼んだんだろう....
「うん!いいよ!」
美沙の気持ちが嬉しくて私はOKした。
「ありがとう....美沙....」
「えっ?何が?」
「ううん何でもない....」
私は携帯を閉じてその携帯を握りしめていた。




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