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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3


そこまで想い返していた中岡先生は、同窓会の時からずっと瑞稀に聞きたかった事を思い出す。
もしかしたら、それは自分が結婚すれば分かるのではないかと思って秋乃にも言ってなかったが、結局分からなかった。

「ねえ、瑞稀ちゃん。」
「なんですか?」
「・・・ずっと聞きたかったんだけど・・」
「・・・・なんですか」

もう聞かれることに検討が付いているのか、瑞稀は桜の木に向き直った。
中岡先生は、そんな様子の瑞稀に構わず聞いた。

「・・5年前、どうして拓斗君に日本を離れる事を言わなかったの?」
「・・・・・」

予想していた質問を聞かれたからか、それとも聞いて欲しくなかったか。
その両方の感情を顔に表す瑞稀は中岡先生へ振り返った。

「・・言いたくなかったから」
「どうして?秋乃ちゃんから聞いたけど・・付き合ってたんでしょう?」
「・・付き合ってたから、です」
「ええ・・?」

中岡先生がますます分からないという風に肩を落胆させた。
瑞稀には、それ以上答える気が無いようで、再び桜の木を見上げた。
その瑞稀に、もう一度声をかけようとした中岡先生は事務の人が自分を呼んでいることに気づいた。とりあえず、返事はしたものの、瑞稀をどうしようかと思って視線を送ると、瑞稀はついさっきまでの表情を仕舞い、笑顔で、

「大丈夫です。気が済んだら職員室の先生に声かけて、正門から出ますから」
「そう?ありがとう、ごめんね」
「いえ、こちらこそ。」
「久々に話せて楽しかったわ。じゃあ、声をかけてね」

何に対しての“ごめんね”なのか、聞くことはせず言葉を返した瑞稀に手を軽く振って職員室へと走っていった中岡先生は心の中である言葉がループしていた。
それは、秋乃から話を全て聞いた時にその人が言った言葉。

『瑞稀は、人のこと想いすぎて暴走するから・・どうしようもないんですよね』

その言葉とは裏腹に、優しげな笑みを浮かべた秋乃を見て、何も言えなかった。
秋乃の、親友を想う言葉の意味が解らなかったが、今、分かったような気がする。
だが、自分にはどうすることも出来ない。
彼女の親友たちが出来なかったんだから。

もし、彼女を救えるなら、ただ一人しか居ない。
だが、その彼も瑞稀によって境界線を引かれてしまった。
だからせめて、拓斗が瑞稀の本心に気づいてくれるように願うしかなかった。



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