永遠の約束V-1
『・・・よかろう・・・』
まばゆい光を宝珠が放つと、みるみる姿を変え・・・
握りしめた九条に反応し、宝珠をはめ込んだ美しい聖剣が姿を現した。
『大和・・・そなたの刀を前へ』
「はい」
言われた大和は鞘からカタナを抜き、差し出した。
『・・・そなたも志は同じか』
「違いありません。永遠に葵様の傍を離れず、彼女を守ります」
真摯な大和の瞳に"世界の意志"が頷く。と、同時に閃光がひらめき・・・大和の刀が光をまとった。徐々に形を変えてゆき・・・彼の愛刀は王と守る聖刀へと変化した。
そして・・・
『仙水、葵は己を癒すことが出来ない。その力をすべて他人のために使う誓約をたててしまったのだ・・・』
仙水の脳裏に血だらけの葵の姿が蘇った。彼女の止血を試みた仙水の手に、あのときの感覚が蘇る。
ぎゅっと手のひらを握りしめ、仙水は誓うように口を開いた。
「・・・私も葵様を守りたい・・・彼女が人々を守るのならば、私が葵様を守ります」
『・・・頼んだぞ』
仙水の両手に光が宿り、全身を覆った。湧き上がる不思議な力に仙水は目を閉じた。(この力のすべてを葵様のために・・・)
仙水の意志が清らかな水のように波紋する。体に馴染んでゆく癒しの力に仙水は目を開いた。心配そうに眉を下げる葵に仙水は微笑んで見せた。
「私たちはもう・・・ただの人間ではありません。これからは貴方を守る盾となり、武器となる・・・。」
「ならば・・・皆さん私のことは葵と呼んでください。私たちは"同じ"なのですから」
跪く彼らは葵の手の甲に優しく口付けを落とした。
『・・・そなたらは人界の王、葵を守護する神官となり彼女を守れ』
「永遠にあなたとともに・・・葵・・・・」
九条が一際長く葵の手の甲に口付けた。この口付けの長さが・・・葵に対する九条の気持ちの表れだった。
葵は知らない。
彼らの中に自分へと恋心を寄せる者がいることを・・・・