葬られる者-1
僕は真っ赤な薔薇の花束を持ってアパートのその部屋に入った。
ソファーの所に息も絶え絶えのお婆さんが横たわっていた。
彼女が発作で倒れてから誰にも気づかれずに何日も経っている。
彼女は僕を見ると弱弱しく言った。
「お兄さんは……どなた……ですか?」
僕はダーツを投げた。見事命中すると、老婆は体から抜け出して笑った。
「そうなの。やっとお迎えに来てくれたのね。さあ、連れてってください」
僕は花束を差し出した。老婆は喜んで受け取ると僕に抱きついて来た。
「ありがとう。約束通りの薔薇の花束と……」
胸がちくりとした。僕の胸にダーツが刺さっていた。
そしてみるみる老婆の姿は可憐な少女に変わった。
「……美少年の贈り物をね」
「まさかあなたも?死神と裏取引をしたのですか」
「裏取引?何のことかしら。これはあなたも了解済みのことだって」
「知らないよ。こんなことは聞いていない」
「でも死神は言っていたわ。あなたはもう既にこういうことに手を染めているって。
だから2回目からは抵抗がないだろうって」
「なんて勝手なことを……」
「それと、こんなことも言っていたわ。
ダーツはわたしをあなたに恋させて、大人しくついて行くために刺すのだと。
だからわたしがあなたを刺せば、あなたもわたしに恋して言うことを聞いてくれるってね」
「死神の自分勝手な理屈ですよ、それは」
「でも、天使のあなたはダーツを刺されると力が抜けて女のわたしにも逆らえないのでしょう」
「そんなことまで……教えられたのですか」
少女は黙ってうなづくとするするっとパジャマを脱いだ。
まぶしいばかりの裸体が現れた。
長い髪を背中に垂らし両手で胸を押さえて微笑みながら僕に近づいて来る。
「ハニエルさん、あなたは本当に最高の美少年ね。今の私は処女の頃のわたしの体。
この体をあなたにすべてあげるわ。そして昇天できればとっても幸せよ」
「よしなさい。天使の体と交わっても懐妊はしないし、なんの意味もないんですよ」
「そうやってじらすのは天使のやり方?仕方がないわ。これでどう?」
少女は僕の首に腕をまわして唇を近づけた。
ぼくは顔を逸らそうとしたが、少女の手の力は強かった。
柔らかい唇が触れたかと思うと首を左右に傾げて音を立てて吸い込んで来る。
そして舌を差し込んで僕の舌に絡め甘い唾液を流し込む。
僕は脳が痺れるような快感を感じながら、必死に抵抗した。
そうかラシュヌが『気をつけろ』と言ったのはこのことだったのか。
僕はようやく口を外すと少女に言った。
「君は天国に召されるのだから、こんなことをしてはいけないよ。
僕は天使なんだから、誘惑してはいけない。それは罪になるんだよ」
すると僕より小さい少女はぼくを抱えて座らせると僕の顔を胸に抱き寄せた。
少女の乳房が僕の顔をふさいで息ができなくなった。
何故人間はダーツが刺さっても力が抜けないのに,天使の僕はこんなに弱くなるんだろう?
少女は僕のシャツを脱がすと僕の裸の胸に乳房を押し付けて来た。
「そんなことをしても駄目です。僕はあなたと交わりませんよ」
「嘘。感じているくせに。じゃあ、これはどう?」
僕を押し倒すと少女はいきなり僕の顔の上に跨って来た。
そして陰部を僕の口に押し付けて来たのだ。
露っぽいぬんめりした粘膜が僕の口を塞いだ。
少女はそのまま腰を揺すって陰部を擦り続けた。
「や……やめっぷっぷ……なさい。むぅうぷ」
「やめないわ。さあ、いよいよ」
少女は勝ち誇ると体の向きを変えて、僕のお腹の上に跨ると腹筋の凹凸の部分に陰部を擦りつけながら僕のズボンのベルトを緩めた。
「後悔しますよ。天使にそんなことをしてはいけません」
「だって約束ですもの。人生の最期は美少年とセックスして華々しく飾るんだって」
とうとう少女は僕のズボンと下着を一気にずり下げた。