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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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幻覚-5

 目の前が突然真っ白になり全身から滴るほどの汗が噴き出してくる。

「待って・・・!アズールっ・・・アズール!!」

ガクガクと震える身体を制御出来ず、シウは声を振り絞って途切れ途切れやっとの思いで言葉を吐き出した。

「なあに、シウ」

離れて喋ると同時に掠めた唇にも、敏感に色付いたそれは蕩けそうな痛みを残す。

「・・・待っ・・て」

「止めてってこと?」

乱れた呼吸を飲み込み、シウは自身の間にあるアズールの腿に触れた。

「ん、これ、・・・死んじゃいそう、に・・なるんだよ・・・・」

引き寄せて密着していた局部をそっと浮かせて、おどおどとそう言ったシウ。

途端、キョトンとしたアズールは可笑しくなって弾けたように笑い出す。

「なっ、なんで笑うんだよ・・・・っ」

「これ、って此れのこと?」

つん、と追いかけたそこにまた腿を擦り合わせればシウは目を見開いて後退った。

「はっ!あははっ」

「さっ最低だぞお前っ」

「お前?」

「・・・・アズール」

悔しそうに眉を寄せたシウを見詰め、アズールは可笑しさの余韻で頬を緩ませる。

シウもまた、長めの前髪から覗く優しげな暗い瞳から負けじと目を反らさなかった。

アズールはシウから離れ立ち上がり、ふ、と細い息を吐く。

「分かった。今日はもう休ませてあげるよ」

「・・・本当?」

「このままだと俺が危ないしね」

「え・・・・?どういうこと?」

「いや、いいんだ。この部屋から出なければ自由にしていい。また食事を持って来るから、それまでお休み」


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