愛撫-6
「そんなに焦らなくてもちゃんとしてあげるよ、拷問」
「っ!なら、早く・・・!」
笑みを残した目もとが捉えるなり、少女の心を読んだように言う。
「君の担当をかって出たのはね、君のことが気に入ったからなんだ」
「・・・は?」
「だから専属に扱うために買うことにした。時間は君の命の限りあるんだよ」
「あたしを殺すのか?」
「いいや。逆だよ。ずっと生かすんだ。俺の傍で」
下から煽ってくる灰褐色の瞳に、ぞくりと背筋が冷えるのが分かった。
ええと、と青年はそんな少女を尻目に尚も続ける。
「どこまで説明したかな。俺は薬剤師で、今回新薬の研究開発を任されているんだ」
「それ魔術の弱い医者ってことだろ?それとあたしは何の関係があるんだよ」
「うんまぁ、そんなところかな。君は実験用のペットとしてここにいるんだよ」
「は?実験・・・・?」
「サキュバスという種族は知ってる?」
膝に置かれていた手がするりと剥き出しの内腿を撫でる。
少女の身体が無意識にぴくりと反応する。
「君は薄いけれどサキュバスの血が入っているね。だから肌も他の奴隷候補よりも綺麗だし色素も薄い。君は奇形種なんだね」
「・・・・っ珍しいもんでもないだろ?」
「うん、確かにそこまで珍しくはないけど。純血でもない君は奴隷としては扱いにくいと判断されたんだろう。混血は毒性を持つとも言われているし。それでもこの年までよく売れなかったもんだよ」
「あたしの血は、人を狂わせるって・・・あんた知ってて・・・?」
「俺はこれでも優秀だからね。その血がどう作用しようと解毒くらい容易いよ」
「・・・そう」
「俺のこと、これで少しは理解してくれたかな」