愛撫-12
掌が脇の下からシャツの中に潜り込む。
「ひゃんっ」
「くすぐったい?」
「当たり前っだ、ろっ?」
身を捩るにも自由はなく、少女はアズールを睨むことしかできない。
ふと、背中へ回された腕の長さと逞しさに気付き内心少女は驚いた。ローブに隠れている身体は細く見えるのに。
しかし、伸ばされ触れている腕は間違いなく男のそれで、少女は思わず身を竦めてしまう。
さわさわと蠢く指に小さく悶える。
「や、ぅくっ・・・は、はぁっ」
「くすぐったい割にはいい声が出るんだね」
「っうるさ・・・・っ」
「顔も、さっきよりずっと良くなった」
「・・・・っ」
いちいち観察して述べてくるアズールに少女は顔を背け掠れた声で叫ぶ。
「実験したいんだろっ?さっさと・・・っ」
「経過はちゃんと記録しているよ。ここに」
そう言ってやればアズールは笑いながらトントンと自分のこめかみを指で叩いて見せた。
「・・・性格悪っ」
「あはは!よく言われる」
「あんた、なんなんだよ・・・っ」
「あんた、じゃないよ」
「・・・っ」
一度離れた掌が次にはシャツをたくし上げ、脇腹を掠める僅かな衣擦れにも少女は顔をしかめる。
「ご主人様とは呼ばなくていいけど、せめて名前では呼んでほしいな」
「あ・・、アズー・・・ル・・」
「よく出来ました」
「・・・あんた本当に調子、狂う・・」
「言ったそばから。名前。俺はアズール。君は?」
「し、ぅ・・・んんっ」
「そうだね。君の名前はシウだよ」
「・・・ふ、あっ」
捲り上げられ、露になった白い肌に掌が上下する。