THANK YOU!!-3
式が終わると、皆で列を連なって教室まで戻っているはずだったが、もうすでに友達を作ったのか何人かが互いに話し始めてすぐに列はバラけた。
後ろに居た瑞稀はまだ誰とも話していない。もとより、自分から話しかけに行くのは苦手な質なのだ。
小学校の時だって、拓斗と話すようになったのも拓斗から話しかけてくれたからだったし、秋乃に関してはぶつかってから話すようになった。
そこまで思い出した瑞稀は悲しげな顔をした。
「・・(拓斗・・か・・)」
卒業式の日から、あんな別れ方をしてしまったせいで連絡を取っていなかった。
どうしても今回は自分だけが悪いと思えなかった。
ただ、先に傷つくような事を言ったのは拓斗だとずっと考えていたがよく思い出してみると最後まで拓斗の話を聞かなかった気もしていた。
何が言いたかったのか。気になってはいるが、自分から連絡を取りたくない。単なる、意地っ張り。
あんな言い方をしてしまったのだから、もう嫌われてしまったかもしれないと。
「(・・・丁度、良いのかもな・・)」
どちらにせよ、拓斗離れはしなければならなかった。
拓斗に、好きな人がいるのだから。最初から実ることのない初恋。
気づいたところで、何が報われるわけでもなかった。
瑞稀は、外の空気に触れて冷たくなっている首の後ろをさすった。
気持ちを断ち切ろうと、休み中に髪を一気に切って首のうなじが外にさらされているのにまだ慣れない。
だが、早く慣れなくてはならない。一秒でも早く、拓斗の想いを断ち切るために・・・。
「・・首、痛むの?」