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19歳
【ラブコメ 官能小説】

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回想Bパート-3

 その後、さすがに受験勉強に本腰を入れないといけなくなったあたしは、定期的にやっ
てた月1回の『きらめき』のライブに行く他は、バイトも辞めて、イベントの準備や打ち
上げに少し顔を出す程度のことしか出来なくなった。
 あたしは、シビアな環境に置かれてこそ力を発揮する、“やるときゃやる”タイプなので
そりゃぁ、頑張りましたとも。正直言ってギリギリアウトだと思ってたから。今の学校に
通えているのは、あんときに必死で勉強したおかげだ。
 月1回の『きらめき』のライブは、単なる息抜き以上に、あたしの、明日への活力の源
になってくれたし、何と言っても、隊長と直接に会って話が出来る唯一の機会だったから
ホントに貴重で、あたしにとっては、文字通り“きらめくような美しい時間”となったので
あった(恥ずかしい、ああ、恥ずかしい、恥ずかしい…)。

 そんなこんなで、毎日が忙しく過ぎ去って行って、あっと言う間に年が明けた。どうも
初詣は縁起物らしいので、正月だけは勉強もほどほどにして、隊長はじめ、『きらめき』
のメンバーさんたちと一緒にお参りに行った。そのご利益なのか、頑張って努力したカイ
あって、ともかく、志望した大学に無事に合格することが出来た。
 2月の半ばくらいで試験が終わってからは、バイトも辞めてたし、部活も何にもなくて
暇だったので、よく、練習しているスタジオなんかへ遊びに行った。3月初めに合格通知
が来た後は、4月から住む部屋を探したり引越したりして忙しかったので、そんなに頻繁
には行けなかったけど、それでも、定期ライブには欠かさず参加してたし、チラシを一緒
に作ったり、差し入れを持って行ったりもしていた。

 今思えば、その頃のあたしが、隊長を目の当たりにしたときの瞳の色と形は、どぎつい
ピンクのハートマークだったんじゃないかと思う。それまでの、自由に話す機会も持てな
かった期間に募ってしまった想いが積もりに積もって、とうとう支え切れなくなって崩れ
てきたような感じとでも言ったらいいのか、とにかく、あたしは、勝手に舞い上がってし
まっていて、一日中、ヘンなことばかり考えて過ごしていた。

『きらめき』の紅一点である蝶々さんは、彼氏がいるって言ってたから、隊長とどうにか
なることはないだろうとか、前にバイトで一緒だった大学生のファンの娘は、ギター担当
の明朝さんのことをお気に入りだったから大丈夫だよねとか、年齢が10歳以上も離れて
いるあたしが隊長のことを「好きだ」なんて言ったらオカシイかな? とか、そんなこと
しか頭に浮かんで来なかった。

 そして、あの日…。


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