THANK YOU!!-12
「で?クッキーは?作ってきたんだろ?」
「・・・その作ってきた前提は何ですか・・」
そう口を尖らせ、クッキーの袋を隠そうとした瑞稀だったが・・
「だってくれなきゃ俺、昼飯食ってないから腹減りすぎて倒れそうだし」
「嘘ぉ!?」
拓斗の言葉に思わずクッキーの袋を差し出してしまった。
「よっしゃ!サンキューな!」
「・・・乗せられた気がするのは気のせいかな・・」
元気よく受け取った拓斗のどこが倒れそうなんだろうか。
呆気なく渡してしまった拓斗に弱い自分に呆れて、ため息をつく。
そんな瑞稀に気づくことはなく、拓斗は早速袋から取り出したクッキーを口に入れる。
不満があった瑞稀もさすがに女の子。先程までの溜息はどこへやら。
ドキドキしながら拓斗の様子を見る。
「・・・」
「・・・・八神」
「っあ、あい!!」
「・・なんだ、“あい!”って」
「な、なんでもない!!」
急に呼ばれ、身体を凍ばらせた瑞稀は勢い良く返事をした・・が、その声は裏返った上に妙な言葉になってしまった。それを聞いた拓斗に笑われる。
「・・・ど、どう・・?」
瑞稀はおそるおそる聞くが、拓斗はそれに答えずもう一枚取り出してかじる。
そして・・ニッという笑顔を見せた。
「うん、上手い!俺から言っといてなんだけど、すげー上手い!想像以上!」
「・・!本当!?」
「あぁ!」
拓斗の答えを聞いて、瑞稀は嬉しくなって、親に褒められたかのような子供の笑顔になった。
その顔に、拓斗の顔が真っ赤になったのは言うまでもない。